No.48  2007年10月  <秋号>

「クールルーフ」釉薬瓦への積極的な取り組みを!!

東京7区の高反射塗料の補助46件

 今、地球温暖化防止策や、東京など大都市でのヒートアイランド現象の緩和策、そして建物の省エネ対策が声高に叫ばれている。これに呼応して、「遮熱塗料」「高反射塗料」「遮熱金属屋根材」の市場投入が活発化している。ただし、一部で「高反射塗料の耐候性については、さらなる検証が必要」との指摘もある。

 東京7区が2006〜07年度に実施した建築物の屋上緑化のほか、屋根面へ高反射塗料を施すと経費の一部を補助する「クールルーフ」事業では、高反射塗料への交付件数はこれまで46件あったという。

鶴弥が高反射瓦を開発

 「クールルーフ」事業の先駆者は米国。先行するカリフォルニア州では、クールルーフを法律で義務づけ、クールルーフと認定された建物に対し奨励金を交付している。その認定では、粘土瓦やコンクリート瓦、金属屋根材の場合、日射反射率は40%以上を基準とする。

 釉薬瓦メーカー、樺゚弥(愛知県半田市)はこのほど、太陽光エネルギーの60%以上を瓦表面の特殊な釉薬面で反射させる高反射瓦「サマースノーシリーズ」を開発したと発表した。

 名古屋工業大学での実験では、通常の黒色瓦(マットブラック)に比べ、高反射瓦の白色瓦(スノーホワイト)の表面温度は21℃もの温度低下を示す結果が得られたという。

 釉薬瓦の特徴のひとつが、表面のコーティング層がガラス状の釉薬であるため、熱や紫外線に強く、長期間の高反射性を保つことができること。釉薬瓦業界の「クールルーフ」瓦開発への積極的な取り組みを期待したい。 (本誌・吉田)

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No.47  2007年7月  <夏号>

町首都圏の団塊リフォーム 戸建20万戸、屋根・壁多い

ネットで実施、1500名が回答

 団塊世代の消費動向が注目されているが、では、「住宅リフォーム市場の規模」はどのくらいか。

 1都3県における戸建住宅のリフォーム市場規模は20.5万戸、風呂やキッチンなどの設備に次いで、「屋根・外壁」の改修が顕在化してくる──。

 これは6月7日、(中)日本増改築産業協会が開いた「団塊リフォームを掴め フェスタ2007」セミナーで、潟潟Nルートの島原万丈・住宅総研主任研究員が発表した調査結果。

 調査は昨年12月の5日間、インターネットで実施。対象は、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県に在住する、1947年〜51年生まれの男性、および該当する生まれの夫をもつ女性。回収は男女各750名、計1500名。

5年から10年先に顕在化する

 その調査結果によると、持家率は7割以上、その平均築年数は18年で、建物や設備の老朽化に不満を抱えている。持家戸建の28%、マンションの23%がリフォームを希望している。

 国勢調査から推計される団塊世代のリフォーム市場の規模は28.8万戸という。戸建は20.5万戸、残りがマンション。

 リフォーム希望のピークは築20年から25年、今後、5年から10年くらいかけて顕在化してくる。リフォームを希望する部位は風呂、キッチンが多いが、戸建では次いで「屋根・外壁」の割合が高い。その予算は、戸建、マンションともに200万〜300万円がボリュームゾーン。

 リフォームに必要な情報収集の手段としては、専門雑誌が最も多く、クチコミ、工務店、ホームページなど。 (本誌・吉田)

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No.46  2007年4月  <春号>

町づくりは、設計や施工者などのコラボレーションで

京都市が瓦など和風意匠を義務づけ

 強制力を伴う「景観法」が全面施行されたのは2005年6月。まもなく2年を迎える。戦災を免れ、たくさんの「古都の文化財」が世界文化遺産として登録されている京都市が、思い切った景観施策を打ち出した。

 まず、ビルやマンションなどの建物の上限高さを引き下げ、新たに「清水の舞台からの眺望」など「眺め」を保全の対象とする。自然と調和した和風の外観とする山麓部の「風致地区」も拡大する。

 歴史遺産型などの地区では、勾配屋根、瓦など和風意匠を義務づけ、色彩基準は禁止色を数値化して明確にする。屋上広告や点滅式広告を市内全域で禁止する。

 この新景観条例は、一部市民や関連業界が猛反対するなか、この2月の定例市議会で可決、今年9月に施行される。

「“守るべき景観”のインフラがない」

 今年1月24日に開かれた景観材料推進協議会主催の「ものをつくり、まちをつくる」シンポジウム。基調講演で土木設計家・東大名誉教授の篠原修氏は、「景観法施行はヨーロッパに遅れること100年。施行後、イタリアを視察したが、一番勉強になったのは、“日本の参考にはならない”ということ」と語った。

 ヨーロッパでは、近代工業化以前にできた集合住宅や広場、教会の景観を保全していくという厳しい景観規制がある。これに対し日本は、明治以降の近代化の過程で景観を壊し、大都市は戦災で焼かれた。「日本には残念ながら、“守るべき景観”のインフラそのものがない。従って、新しくいい都市、町をつくって子孫に残していくしかない。法律で高さや色彩は規制はできる。だが大事なのは、建築、土木、造園といった縦割りの“村社会”を取り払った総合的な都市計画、また、計画、設計、施工、使う人などの縦のコラボレーション、そして“実践”していくこと」と強調した。 (本誌・吉田)

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No.45  2007年1月  <新春号>

MSKが中国企業の傘下に “持続的発展”の実を選ぶ

中国の太陽電池大手、サンテック

 M&A(企業の合併・買収)自体は珍しくないが、これには驚いた。中国の太陽電池大手メーカーによる日本の同業メーカーの買収である。サンテック(江蘇省無錫市)は凱SK(本社・東京、笠原唯男社長)を今年末までに最大3億j(約345億円)で買収の予定だ。

 MSK 買収の狙いとは何か。両社の技術・商品開発のシナジー効果による日本および世界での市場拡大である。

 サンテックの CEO は施正栄(シ・ジェンロン)氏。米国で太陽エネルギー分野の博士号を取得して帰国、2002年にサンテックを設立した。今では太陽電池の分野で世界6位という企業に育て上げ、2005年には、中国の民間企業として初のニューヨーク証券取引所への上場を果たし、施氏は中国の2006年度エネルギー業界長者番付のトップの座についたという。

建材一体型に強い創立40年のMSK

 一方の MSK は創業して40年、今では太陽電池モジュールのトップメーカーである。とくに「建材一体型太陽電池」の分野では強く、2005年には潟Nボタから屋根一体型太陽光発電システム「エコロニー」事業を受け継いでいる。年商は200億円、従業員は230名。

 昨年10月12日、都内のホテルで MSK の創立40周年記念式典が、同社の代表取締役会長でもある施氏も出席して盛大に開かれた。笠原社長はあいさつで、両社の“合併”について、@施氏は若手創業者であり、その人柄にも惚れたこと、A両社の企業理念がほぼ同じであること、Bサンテックグループの一員として、MSK のさらなる飛躍を強調した。

 あえて異国の中国の成長企業の傘下に入ることで、MSK の“持続的発展”という実を選択したといえる。 (本誌・吉田)

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No.44  2006年10月  <秋号>

住宅の資産価値は「街並み」で

豊かな「植栽」もポイント

 エクスプレス(TX)の開通とともに、急ピッチで開発が進むつくば市。10月上旬、住宅分譲地を視察する機会を得た。

  当時、大きな話題を呼んだ故・宮脇檀氏のマスタープランによる「二の宮町四丁目地区」(事業・都市再生機構)。分譲開始は1988年。20年近く経った今、住宅は緑にすっぽりと覆われ、街並みは品のある雰囲気を醸し出す。

 電線は地中化、道路は歩行者優先の化粧舗装とし、各戸とも道路境界から90pを植栽スペースとしている。

 2×4工法による分譲のタウンハウス「グリーンハイム手代木」。(事業・都市再生機構)。設計は納賀雄嗣氏。1982年の竣工から20年以上を経た、何とも重厚感あるたたずまいは、瓦葺きの大屋根、緑濃い屋敷林があってこそだろう。

 設計のポイントは、囲み型住棟配置によって中庭形式のコモン・スペースをもつ低層住宅としたこと。

「3世代100年、住み継がれる街づくり」 

 分譲住宅の開発が盛んな「研究学園」駅周辺。駅から徒歩5分、いま販売中の「つくば葛城パセオコモンズ」は総124区画。積水ハウス、トヨタホーム、大和ハウス工業、ミサワホーム東関東の4社が手がける。電線の地中化、多彩な植栽、統一された傾斜屋根など、最大の売り物は、その「街並み」だ。

挑むは「3世代100年にわたり住み継がれる街づくり」──。 (本誌・吉田)

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No.43  2006年 7月  <夏号>

遅れている「屋根の機能化」防露など地域別工法を!!

積水ハウスの住まいの研究施設

伸び悩むプレハブ住宅。「いよいよ積水ハウスも路線変更か」──同社が東京・国立に開設した住まいの研究施設「サステナブル デザイン ラボラトリー」を訪れたときの第一印象だ。

杉集成材を使った縁側、木製サッシ、桧のムク床材、畳、桧浴槽、地下水利用、雪見障子、ストーブ……。

一見、昔ながらの住まいの提案だが、あちこちに最新技術の仕掛けがいっぱい。地下水は土間の冷却やヒートポンプに利用する。さらに太陽電池、燃料電池、光触媒塗装と最先端の技術を採り入れている。驚いたのは、世界初という生体センサー。ベッドに横になるだけで心拍、呼吸・体動が計測でき、異常時にはアラームで知らせるという。

断熱・防湿・防水・換気・防災…

視察して痛感したことは、住まいの中で「屋根の機能化」が遅れているということ。

確かに太陽電池パネルの搭載が増え、傾斜屋根緑化の事例もみられる。だが、雨漏り防止や防露のあり方など、屋根が本来持つべき機能についての研究開発は、まだまだ不足している。

たとえば一般的になってきた外壁の通気工法。小屋裏利用や結露防止、屋根の遮熱・断熱性を考えれば、「屋根の通気工法」の確立と普及も必要だろう。

土屋喬雄・東洋大教授は、小屋裏防露や野地板腐食の防止について、野地板や下葺き材など適切な材料の選択と、工法の研究が必要という。

気候が違えば、温湿度など住環境も異なってくる。断熱、防湿、防水、換気、防災など、「地域別の屋根工法」研究も欠かせない。               (本誌・吉田)

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No.42  2006年 4月  <春号>

KMEWが「ルーフX」で攻勢 釉薬瓦洋形と市場争奪に

屋根材市場で主導権ねらう

統合3年目を迎えた「KMEW」(クボタ松下電工外装)。年度後半にも、新開発の無機系素材を用いた新屋根材「ルーフX」(仮称)を市場に投入し、いよいよ本格的な攻勢に転じる(21〜23n参照)。

基材は画期的なもので、軽い、色あせしない、強い、形状自由という特長をもつ。いわば、46年ぶりの「第二のカラーベスト」。「KMEW」ブランドの独り立ちを意図したものだ。

同社の中嶋建夫社長は、新屋根材を武器に「屋根材シェアの40%を目指したい」と意欲を語る。狙うは、屋根材市場で主導権を握ること。

三州産地(愛知)で新規投資計画が相次ぐ釉薬瓦洋形。その市場拡大の要因は、量産によるコスト低減と技能に頼らずとも簡単に施工できることにある。

「ルーフX」と釉薬瓦洋形、これから市場争奪の新たな局面を迎える。

和形の復権は“技術”の市場認知にあり

瓦の焼成燃料費の高騰や副資材の値上がりで大幅なコスト高に悲鳴を上げる粘土瓦メーカー。一方で、住宅会社の値下げ要求と自らの受注競争による工事単価の低迷、引いては収益悪化に悩む屋根工事業。

「現状のままでは、事業存続が危うい」として、それぞれ瓦の値上げと、屋根工事の新たな「設計価格表」の策定に動き出した(24〜25n参照)。

しかし、「粘土瓦和形」は需要不振が続く。その復権のカギは、釉薬瓦洋形と一線を画すこと。そして“技術料”が盛り込まれた和形屋根の付加価値を、市場にどう認めてもらうかにかかっている。(本誌・吉田)

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No.41  2006年 1月  <新春号>

景観法が始動、瓦業界は積極的に参画を!

住まいの資産価値を訴える
住宅業界の住まいづくりが、従来とは大きく変わってきた。その一つが、20年、30年単位ではなく、50年先、あるいは100年先を視野に入れた住まいづくりだ。

今、住まいのキーワードは、環境、省エネ、健康・

快適、安全・安心など。大手住宅会社では、「環境共生住宅」「サスティナブル(持続可能な)社会への貢献」「ロングライフ住宅」といった住まいの長期耐久性をうたう。

その戸建て分譲事業では、個々の住宅のデザインや機能もさることながら、長年にわたって住み心地のいい「町並み」の提案、すなわち、ひとつの町として永続しながら、しかも時を経るにつれ高まっていく資産価値を訴求する。

屋根工事業にチャンス到来

昨年、施行された景観法。目的は、各地域の歴史的・文化的な景観を保全し、持続させることで、地域の再生を図ることにある。いわば「地域資産の価値」を高めていくこと。

屋根工事業に大きなチャンスが到来した。ただし、それを生かせるか否かは、これから始まる各自治体や住民、建築士らの景観計画づくりへの参画や、「屋根のプロ」として、地域の町並みにおける屋根のありようの提案にかかっている。

材木関係者や建築士は出てくるが…

建築家の内藤廣氏は、本誌インタビューで、瓦は、少なくとも100年の耐久性を保つと評価した。だが、材料は良しとしても、町づくりでは、「材木関係者や建築士は出てくるが、瓦業界の人は一人も出てこない」とその姿勢に疑問を呈した。これでは、せっかくのチャンスを逸しそうだ。                                             (本誌・吉田)

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No.40  2005年10月  <秋号>

まちの再生とは? 弱点を魅力や強さに転換すること

「都市再生まちづくり会議」開く
「どうしたら、まちを再生できるか」。
自然や地勢などの弱点を逆に魅力や強さに転換し、地域特性を打ち出すこと。そして、まちづくりの

主役は官ではなく民、その民間の活力を引っ張り出すこと。
さる8月7日に開催された「全国都市再生まちづくり会議」(座長・伊藤滋NPO日本都市計画家協会会長、於=東京・日比谷公会堂)で、全国各地の「草の根まちづくり」活動家2100名が一堂に会し、連携して地域に根ざしたまちづくりに努めていくことを宣言した。
屋根業界もまちづくり会議に参画し、日本屋根外装工事協会が共催、全陶連、全瓦連らが協賛した「屋根景観コンテスト」表彰式も行われた(24〜27?に詳報)。
「北は稚内から南は石垣まで」
小泉首相も激励に駆けつけた初のまちづくり会議。テーマは、「北は稚内から南は石垣まで」のネットワークづくり。この中でシンポジウムも企画された。
サハリン国境まで43獅ニいう日本最北端に位置する稚内市の横田市長は、「寒地、強風という地を生かし、100%新エネルギーの町にしたい」と抱負を語った。これまでに74基の風力発電が稼働し、市の消費電力80%弱を賄っている。
日本列島の最南西端に位置し、19の島から成る石垣市。平成9年に「観光立市」を宣言、観光客は4万人から71万人強に増え、住民も4万人から4万6000人に急増した。大a市長は「石垣は観光で生きていける」と言い切った。
また、設計者や職人らとの連携で活動している京町家保存再生研究会の小島事務局長は、「補助金に頼らない、会の経済的な自立を目指している。売りに出ている町家の保存に、不動産の証券化も計画中」と発表した。      (本誌・吉田)

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No.39  2005年  7月  <夏号>

「今、経営能力が問われている」ドイツ屋根工事業

屋根10万件に太陽光を設置

弊誌は、さる5月3日から8日間の日程で、ドイツ「屋根+壁展2005」を視察してきた(於・ライプツィヒ、視察団14名、P16〜P27に視察報告)。

短期間の視察ではあったが、まず肌で感じたことは、ドイツの方が日本よりも景況が厳しいということ。

失業者は500万人、その率は11% 強、今年の経済成長率の見込みは1%。とりわけ、いまだ賃金が旧西独に比べ20%下回るという旧東独の経済立て直しが重くのしかかる。また、EU(欧州連合)の統合拡大で、新規加盟の東欧から低賃金労働者が流入しているという。

ドイツ政府は今、原子力発電の段階的廃止を決め、おもに旧東独地域で風力、太陽光など自然エネルギーの導入を強力に推し進める。風力発電量は世界一、また、2003年まで1800億円を融資して「屋根10万件設置プロジェクト」を実現させた太陽光発電量は、日本についで第二位。旧東独の雇用創出も大きな狙いだ。

屋根マイスター7600社のZVDH

労働市場の開放や規制緩和で、手工業の開店独立を認める「マイスター資格制度」も根本から揺らぎ始めた。資格を必要とする職種は90から41に減らされた。「屋根職」は残ったものの、すでに大工職が屋根職もできるようになり、さらに板金職にも解放されるという。

屋根マイスター7600社が加盟するドイツ屋根工事業連盟(ZVDH)。

加盟者は年々減り続けているが、シュレーダー前会長は視察団との懇談で、とくに以下の3点を強調した。

@マイスター資格は決して最終ゴールではない、A絶え間ない技能習得こそ仕事を生む、B今ほど、経営能力が問われている時はない──。    (本誌・吉田)

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No.38  2005年  4月  <春号>

廃瓦は宝の山、紙や綿にも 提携先は織物業者や表具師

 「粘土瓦の廃瓦は、まさに宝の山」――。多方面で、その用途開発の研究が活発化している。

歩道板や路盤材をはじめ、コンクリート二次製品、壁材、南蛮しっくいなど、瓦を微粉砕し、それを原料としたリサイクル品は、建築・土木関連で多い。

廃瓦を瓦原料に50%以上を再利用

 三州瓦メーカーでつくる愛知県陶器瓦工業組合は、瓦メーカー各工場からの廃瓦を受け入れ、シャモット化(微粉砕)するシャモット工場を持つが、現状、シャモットの瓦原料への混入割合は3%。

 可塑性や成型性などに問題があるためだが、愛知県三河窯業試験場と窯業プラントメーカーの高浜工業鰍ヘ、廃瓦シャモットを瓦原料の50%以上に再利用できる瓦製造技術を共同開発した。

保水性・透水性に優れる

 屋根工事業を中心に、歩道板や路盤材、インターロッキングブロックなどの商品化が目立ってきた。

 瓦屋根の葺き替え時、あるいは新築住宅の現場で発生する瓦の端材を微粉砕し、原料として再利用する。

 廃瓦の最大の特徴のひとつが、多孔質で通気性が良いこと。従って保水性・保湿性、透水性に優れている。

 雨が降ったときは歩道板内部に雨水を溜めこみ、天候が回復したら、溜めこんだ水を蒸発させる。夏には、冷房費の削減により省エネ効果が図れ、ヒートアイランド抑制も期待できる。しかも、歩行時に滑りにくいといった効能がある。

マイナスイオン効果に着目

 驚いたのは、廃瓦が持つ微量のマイナスイオンや遠赤外線効果に着目し、廃瓦パウダーを混入した「和紙」「布」「綿」「糸」などの開発。

 京都・國陽が開発に取り組んでいるものだが、提携先・取引先は、織物業者や表具師など。こうした新しい技術開発では、新しい市場が創造される。

 破砕した廃瓦がバラス(砂利)として取引先工務店から引っ張りだこの長野・亀山。付加価値を高めるため、破砕瓦の角をさらに丸め、室内のインテリアやアート作品への採用を働きかけている。                  (本誌・吉田)

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No.37  2005年  1月  <新春号>

「防災」と「景観」。大きな節目の年の屋根業界

 「防災」と「景観」−。台風や地震に対する備え、一方で町並みの維持・創造。屋根業界にとっての今年は、大きな節目の年となりそうだ。

ガイドラン工法の対外PRこそ

 阪神・淡路大震災の惨事から10年。
 大震災発生直後、全国紙などで報じられたのが、「重い瓦屋根が木造住宅の倒壊を招いた」という「瓦屋根悪者」論。本当の主因は、脆弱な地盤や基礎、老朽化した構造躯体にあった。
 建物の耐震性確保は、重い屋根であれ、軽い屋根であれ、それぞれの条件に適う構造設計を行い、しっかりとした施工をすること。だが、消費者の理解が十分得られているとは言い難い。
 新潟県中越地震が発生した直後の昨年10月25日、屋根業界は、実大の瓦屋根で耐震実験を行った。
 実験では、屋根業界が定めた「瓦屋根標準設計・施工ガイドライン」工法であれば、阪神・淡路大震災や想定される東海大地震クラスの地震にも、びくともしないことが実証された。
 今後は、いかにガイドライン工法を遵守し、対外PRに努めるかである。

瓦は都心の景観づくりでも価値高まる

 一方の景観づくりでは、「屋根」が果たす役割は極めて大きい。
 昨年12月17日、整った街並みづくりや歴史的な建造物の保全に取り組む地方自治体を後押しする「景観法」が施行された。指定された「景観地区」では、建物の形や色、高さなどを規制する強制力を法的に認めている。
 また、国交省は12月27日、「町家再生・活用ガイドライン」を策定、公表した。江戸期や戦前の商業や手工業が営まれた町家など、伝統的な木造建築物の再生・活用を促すもの。これは、あくまでも共通事項をまとめた“指針”。
 全国各地に残る町家は、固有の歴史や文化、素材・工法を有している。
 第13回甍賞審査委員長を務める建築家の隈研吾氏は、「瓦こそ“場所性”の建築、スローな建築にふさわしい」「瓦は、都心部の景観をつくる材料としても非常に価値が高まる」と語っている。                         
(本誌・吉田)

                       HOME/BACK                      

No.36  2004年  10月  <秋号>

「瓦のプレカット化」の課題技能と工業化手法の融合

  今や、柱や梁などの木材を工場内で加工するプレカット化は当たり前となった。在来工法の戸建て住宅のうち七割程度がプレカット材を使っているという。

 建築現場での材木の手刻み作業に比べると、加工精度ははるかに高まり、工期短縮、コストダウンが図れ、建築現場の廃材も減らすことができる。窯業系外壁材や天井材でも着実に増えてきた。

「環境」で加速、雨降り日にも対応

 瓦業界でも、現場で切断加工している隅平瓦や谷瓦などを工場などで前もって加工し、現場に納入する「瓦のプレカット化」や、調整瓦を用いて瓦の端材発生を極力減らす合理化工法の提案が一部で始まった(18〜23nに詳報)。それらプレカット瓦を部品化(工場成型品)し、供給しているところもある。

 おもに釉薬平板瓦(洋瓦)で、大手住宅会社に提案する。瓦の行儀や施工精度の確保、加工手間の短縮、コスト削減などクリアすべき課題は多いが、新築現場の廃材の減量・リサイクル化という「環境」問題からも、着実に進展することは間違いない。屋根工事店も、雨降り日を瓦のプレカット作業に充てると稼働率が高まるというメリットもある。

危うしドイツのマイスター制度

 ただ問題は、屋根工事店が「出来合いのものの“取り付け屋”さんになってしまう」という恐れである。和瓦などの瓦葺き技能の維持、継承に及ぼす影響が懸念される。施工の合理化の流れは止めようもないが、従来の技能の価値に工業化的施工法をいかに融合させるか、施工品質をいかに維持するかが、これからの一番の課題といえる。

 手工業の起業、開業を許可するドイツのマイスター制度。その資格取得には、厳しい修業、試験を通過する必要があるが、今年1月の法改正で大幅に緩和された。的は、新規参入を促し、高コスト体質を是正、業界の活性化を図ること。

 53業種が資格なしでも開業できるようになった。屋根葺き、大工、左官など41業種は引き続き資格が必要だが、6年間の実務経験(うち4年間は主要ポスト)があれば開業ができるようになった。ただ、一定レベルの技術と人材の確保がこれからの課題とされる。                           (本誌・吉田)

                       HOME/BACK                      

No.35  2004年  7月  <夏号>

「アメックス」再生のカギはコスト競争力と透水タイル

  三州瓦(愛知)に次ぐ石州瓦産地(島根)をリードしてきた潟Aメックス協販(江津市)を含むグループ13社は赤字経営からの脱却を目指し、且Y業再生機構の支援を受け、来年2月1日、瓦製造など8社を新生「潟Aメックス協販」(仮称)に一本化、それに製土、釉薬製造、瓦輸送の3社を含めた4社体制で事業再生に取り組む(53nに詳報)。

特約店は「ベストの選択」

 石州産地の他メーカーでは、「製・販が一体になることは大きな前進」「産地全体が変わるきっかけになりそう」「無益な競争が無くなることを期待したい」など、大勢は前向きに受け止めている。

 アメックスの主だった特約店も、一様に同社の決断を歓迎している。「ベストの選択。製・販一本化で特約店の意見が通りやすくなり、結束がより固まる」「コスト高から、メーカーも我々特約店も儲けがなかった。年3000万枚のフル生産体制を構築できれば、収益確保は確実」。

 同社の今ア一治社長は、「機構の債権買い取りは来年3月末までという時限立法。5年、10年先のアメックスの新しい姿や地域、産地全体のことも考慮して、機構の支援による事業再生を決断した」。ただし「金融機関はご迷惑をかけることになり、大変心苦しく思っている」と語っている。債権放棄要請の対象は金融機関で、一般債権者は対象外。

 今回の再生事業は、産地で今日の製造・販売の一大協業化グループの破壊的創造を意味する。いわば起死回生策。

 同社の強みは、西日本を中心とした有力な瓦工事店の特約店網や独自の商品開発力。この力を生かしながら、製造・販売の企業の統合や設備の集約で製造コストを削減し、営業力も強化して再生を期す。

再生期間3年、時間との戦い

 問題は“3年”という再生期間。平成20年1月期決算で、売上高は今年1月期と同規模の約31億円、経常利益は1億4200万円、借入金は27億円まで圧縮するという計画で、時間との戦いとなる。

 また、新たな付加価値製品による新市場の開拓も課題。“宝の山”という廃瓦を再利用した保水・透水性に優れる歩道用タイル「セラクレイ」の新規事業(30nに詳報)が、そのカギを握っている。                    (本誌・吉田)

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No.34  2004年  4月  <春号>

屋根に好機到来、「景観法」課題は“街並み”提案力

 国交省が、屋根や壁の色などを統一して、欧州に比べてはるかに見劣りする日本の街並みを良くしようと、今年度中の施行を目指している「景観法」。確実に「屋根」の出番が増える――。とりわけ長年、地場に密着して商売をしている屋根工事業にとっては、好機到来と言えよう。

屋根に、いかに付加価値を託せるか

 そのときの課題は何か。外壁工事など関連業界や地元建築士、工務店らと連携し、市町村、あるいは地元住民に地域色豊かな“街並み”をいかに提案していくかにある。

 過当競争に陥っている屋根工事業界。収益確保はままならない。背景には住宅不況もあるが、その根元的な要因は「屋根の付加価値が余りにも小さいこと」。

 コスト削減となったとき、屋根は、得てして真っ先にその余波を被りがちだ。逆に言えば、屋根のプラスαの提案力不足がある。

 現在の直接の得意先は、住宅単体、すなわち個別の住宅会社だが、「地域の景観づくり」となれば、主導する市町村や地域住民との連携も欠かせない。“景観”を切り口として、屋根にどのような付加価値を託せるかが、これからの勝負となりそうだ。

「景観地区」で瓦屋根に統一も

 景観法案によると、景観づくりの実施主体は市町村。自治体に規制の大きな権限を持たせている。これまでにも450の市町村、27の都道府県に景観条例があったが、あまり実効がなかったという。

 各自治体は「景観計画地域」を指定し、配慮すべき色など景観の基準を定める。地域内で建物を建築する場合は届け出制を基本とし、自治体の基準と著しくかけ離れる場合は、変更命令もできる。

 さらに、建物の形やデザイン、色などをより厳しく規制する「景観地区」を設けることもできる。その地域一帯を瓦屋根に統一するといったこともありそう。

 支援組織としては、行政と住民から成る「景観協議会」を設け、景観に関するルールを取り決める。また、景観上重要な建築物の維持管理を行う組織として、NPO法人やまちづくり公社などに「景観整備機構」を設置する。  (本誌・吉田)

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No.33  2004年  1月  <新春号>

「瓦のプレカット化」元年新築“現場ゼロエミ”を提案

 新築住宅の施工現場で発生する建材の端材をいかに減らすか、出たとしても分別回収し、いかに資源として100%再利用するか――。

積水ハウスや大和が「現場ゼロエミ」

 自社工場における排出物の単純焼却と埋め立て全廃のゼロエミッションを達成した大手住宅会社にとって、次なる挑戦が新築現場における“ゼロエミ”達成。

 積水化学グループは昨秋、すでに36の販売施工拠点で達成したと発表、積水ハウスや大和ハウス工業は、2005年度までに新築現場“ゼロエミ”達成を掲げる。

 そのときの最優先事項は、現場における建材の切断加工に伴う端材の発生をできるだけ抑えること。その有力な手法として各社とも採用に動き出したのが、前もって切断加工した建材を建築現場に持ち込む「プレカット工法」である。すでに石膏ボードや窯業系外壁材で始まった。

採用基準にプレカット・再資源化も

 これまでの住宅各社の建材採用の基準は、品質・性能やデザイン、コストなど。これに加え、端材の再資源化やプレカット化の優位性、そして端材の回収、再利用・商品化という循環型システムの構築いかんで、建材およびメーカーが選ばれる時代に入った。

 素材やデザイン、色、コストから、大手住宅会社で釉薬洋瓦(平板系、波形系)の採用が増えているとはいえ、新築現場で発生する端材で多いのは、石膏ボードやダンボールと並んで屋根材、中でも瓦である。瓦業界は、瓦端材を回収し、再利用するための受け皿体制づくりが求められている。

 だが、ここにきて業界の一部から、プレカット瓦を含めた瓦の現場への邸別配送、瓦端材の回収・再利用・商品化という一連の新しいシステムの構築により、大手住宅会社への“ゼロエミ”提案が出てきた(38n参照)。

 また、愛知の若手瓦工事業3名は、瓦屋根をプレカット工法で施工し、端材はクラッシャープラントで破砕して培養土に再利用する新会社を立ち上げた(46n参照)。

 今年は、「瓦のプレカット化」元年になりそうだ。            (本誌・吉田)


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No.32  2003年  10月  <秋号>

屋根・外壁材クボタと松下電工が事業統合「市況安定」主導を期待する

 この12月1日、クボタと松下電工の屋根・外壁材事業が統合、年商840億円の大会社が誕生する(31〜32nに詳報)。

過去最大級のニュース

 今回の両社の事業統合の話が屋根外装(屋根・外壁)業界に伝わるやいなや、衝撃が走った。これまで30年間、販売でしのぎを削ってきた両社が「一事業部門とはいえ、まさか一緒になるとは!」という驚きである。業界にとっては過去最大級のニュースと言えよう。

 だが、金融界をはじめセメント、鉄鋼、商社、建材など他産業では、企業や事業の合併・統合は今では普通の出来事。むしろ、これまで屋根外装業界に大きな波風が立たなかったのが不思議なくらい。両社の事業統合は、化粧スレートの本格的な流通再編の幕開けを意味する。

 今回の統合の狙いとは何か。「赤字部門の切り離し。両社の屋根外装事業は破綻した」との指摘もあるが、一言でいえば「儲からない事業になった」ため。それぞれの強味を活かした事業の再生拡大に狙いがある。

 新会社のより一層の低コスト化、営業攻勢で「屋根外装の市場はさらに乱れそう」という声が挙がるが、屋根業界が期待するのは、製品および工事単価の下落に歯止めがかかること。

 その論拠は、「クボタ・松下連合によって化粧スレートの住宅会社への価格交渉力が強まり、むしろ値は安定するのではないか」。それが引いては釉薬平板瓦など粘土瓦の市況安定をもたらす。

消費者へ「屋根外装の付加価値」提案

 新会社は、新たな厚物屋根材の開発や「光触媒」塗装外壁材の拡販のほか、工事部門の拡充にも動きそう。大手ハウスメーカー対応、とりわけリフォームでの施工体制づくりが課題となっている。

 営業では新会社ブランドをより前面に出した“ユーザー接近策”。住宅会社や工務店に加え、消費者へ「屋根外装の付加価値」を提案していく。背景にあるのは、あまりにも低すぎる屋根外装の社会的認知度である。新会社は、屋根材シェアでは首位の20%、外壁材はニチハに次ぐ第2位の30%を占める屋根外装材のリーディングカンパニー。「覇道」ではなく、「王道」を期待したい。(本誌・吉田)

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No.31  2003年  7月  <夏号>

住宅リフォーム「戦国時代」専門工事業の出番

 住宅リフォーム「戦国時代」にあってむしろ有利なのは、その分野の技能・技術を持った専門工事業ではないか。

 大手ハウスメーカーをはじめ、大手建材メーカー、建材商社、専門工事業とこぞってリフォーム事業の拡充に動き、訪問販売会社も営業をかける。また百貨店、スーパーなど流通業界も参入してきた。

 では、新築住宅の下請け中心できた窯業系屋根工事業の自社請け(元請け)リフォームはどうあるべきか。

 現状、施主からの元請けは、屋根リフォーム全体の3.4%と極めて低い(本誌の今年6月の「屋根工業アンケート」調査結果)。大半は、得意先工務店などを経由した下請け仕事。業界では、異口同音にリフォーム「事業」の難しさを訴える。

 住宅会社の指示に従って屋根を葺く新築住宅と、「元請けとしてのリフォームは全く世界が異なる。どうしたらお客さんに満足してもらえるかのサービス業。シビアさが違う」。

 今号の特集「屋根外装のリフォーム」(28〜38n)で浮かび上がるのは、「顔の見える地域密着の営業」「かかりつけのお医者さん」を心がけ「施主の信頼獲得」に全力を傾ける姿である。

 その成功事例を見ると、「予算やライフスタイルなど、施主の立場での提案」が決め手となっている。

 概して、リフォームの元気印は30〜40代の二世経営者。折り込みチラシや情報提供を含め、その営業では独自の発想、戦略で動く。工務店、塗装、板金など異業種とうまく連携し、ホームページやメールを使いこなす。やりがいは、「お宅に施工してもらって本当に良かった」という施主からの感謝の言葉。口コミ受注が多く、OB客からは内装や水回りなど、専門外の改修依頼も舞い込む。

 元請けリフォームは、新築物件以上に技術・技能、診断、工法、専門知識が問われる。とりわけ勝負は、“顧客満足度”を左右する「工事の質や技術、アフターサービス」。従って屋根・壁・樋など外回り、水回り、エクステリアなど、地域の専門工事業者に有利との声が多い。

 あとは営業=集客(問い合わせ、見積もり、成約)戦略、異業種との連携にかかっている。                                 (本誌・吉田)

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No.30  2003年  4月  <春号>

「屋根の積水ハウス」に期待クボタが屋根事業を再構築

 日本一の屋根材メーカーであるクボタが屋根事業の再構築に乗り出した。同社の木下忠彦専務取締役住宅機材事業本部長が明らかにしたもので、「厚物の屋根材を開発中」とし、そのおもな狙いは“第2のカラーベスト”である。

 「カラーベスト」(住宅用化粧スレート屋根材)は昭和36年に発売されて40数年。とりわけ昭和40〜50年代の高度成長期、洋風の工業化住宅の普及とともに発展を遂げ、戦後最高のヒット建材のひとつとされる。だが、近年は販売量を落とし、供給量はピーク時に対し、半減した。

 新築住宅の減少も一要因だが、薄物の「カラーベスト」に対する“市場の飽き”が大きな要因ではないか。現に新築住宅では厚物・焼き物の釉薬平板瓦が市場を拡大し、屋根のリフォーム市場では、金属の成形屋根材が化粧スレート屋根のカバールーフ(重ね葺き)工法で需要を伸ばしている。屋根市場も他の建材同様、個性化・多様化時代に入った。事実、輸入屋根材も増えてきた。

 業種を問わず、従来の画一的デザイン・量産・低価格路線は破綻を迎えつつある。

 クボタでは昨年1月から、関係者がNHK放映の「プロジェクトX」ものと胸を張る、従来のドライ製法に新たな技術を付加した「ハイパードライ(乾式)製法」で完全無石綿化を果たし、同時に高耐候性、高耐久性を実現した。

 最近では、市場ニーズが強い窯変調ファジーカラーの新色を相次いで発表、小口形状の工夫や「色」により、新たな屋根デザインの提案に力を入れる。

 だが市場では、「無石綿化は世界的な流れであり、高耐候・高耐久は当たり前の世界。現状の素材、薄物では従来の “カラーベスト路線の延長”に過ぎないのではないか」との指摘がある。

 住宅会社の最大手、積水ハウスは、この住宅不況下にあって内外に「中高級路線の堅持」を表明する。

 クボタの木下専務は、「厚物の屋根材の開発では基材(素材)も含めゼロから研究開発中」と語り、狙いは「クボタしかできない屋根材」、すなわち“クボタ屋根材の再興”を強調する。確かに屋根も外壁も付加価値は小さいが、目指す方向としては「屋根の“積水ハウス”」を期待したい。             (本誌・吉田)

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No.29  2003年  1月  <新春号>

なぜか今、南欧風デザイン「大地の窯変色」増える

今、構造を問わず、戸建注文住宅で目立っているのが「地中海風」「スパニッシュ風」「南仏」といった南欧風デザインの提案。これに伴い、屋根には洋形瓦、それも自然の、大地の風合いを持つアースカラーや、その同系色の混ぜ葺きが増えてきた(49〜53nに関連記事)。

 最近の新商品を挙げると、寄棟屋根にフレンチ瓦を載せて“南欧をデザイン”した住友不動産の「コート・ダジュール」、素焼き調洋形瓦(赤茶系)の屋根で南欧風をうたうツーユーホーム「NEWミオーレ」、三井ホームの赤茶瓦屋根の「スパニッシュ」、東急ホームの南欧風「スパニッシュコロニアル」、外観デザインに南欧風も用意したトヨタホームの「シンセ・スマートステージ」、洋形瓦と黄、オレンジ色の明るい外壁との組み合わせで南欧風を強調する積水ハウスの鉄骨系「セントレージ・パレッソ」、また、スミリンツーバイフォーの「プラニ」では洋形瓦と塗壁や擬石壁で「南欧調」を提案する。

 いずれも20〜30代の若い世代の一次取得者層、あるいは海外生活経験者などの“こだわり派”をターゲットとした提案型住宅である。

 こうした傾向と連動して、最近の屋根材では、釉薬瓦を中心として“大地の風合い”“自然の風合い”をイメージした新色が相次いでいる。

 三州瓦(愛知)でいうと、新東の洋形瓦セラム-FS「エムバリエシリーズ」、丸栄陶業のカパラス「パステルクレイ」、鶴弥の平板瓦スーパートライ110「ビスクシリーズ」、~清の和形瓦「ヴァール」、石州瓦(島根)では木村窯業所の平板瓦「エラン」、アメックス協販のΣ10モジュール瓦「ナチュラルシリーズ」、また淡路瓦でもダイトーが洋形瓦「フォルテ」で新しい街並みを提案し、コンクリート瓦ではラファージュ・ブラース社の「クレフィーヌ仕様」が2×4工法向けに販売を伸ばしている。

 いずれもキャッチフレーズには、窯変色、素焼き色、練込み色など、赤茶系の「明るい」アースカラーを強調する。

従来に増して、屋根の「色」が住宅の外観デザインや街並みづくりの重要な要素になってきた。                                 (本誌・吉田)

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No.28  2002年  10月  <秋号>

曲がり角迎えた工業化住宅街並み重視、屋根の出番

 今、住宅市場で元気なのはリフォームと、新築ではアパートなど貸家だが、戸建て新築市場では、限られたパイの激しい奪い合いが依然として続く。

 平成13年度のプレハブ住宅販売実績は前年度比8.0%減の20万301戸(プレハブ建築協会調べ)。全新築住宅に占める割合は17.1%と、平成2年度以来の低水準である。なかでも戸建ては9万5622戸、前年度比12.5%減となり、15年前の昭和62年度以来の10万戸割れとなった。

 不況期こそ、大手住宅の営業・ブランド力がものを言いそうだが、意外と苦戦し、業界関係者らは、「右肩上がり時代の、大手住宅会社による画一的なデザイン、工場量産・低コスト住宅の供給という“量的拡大のビジネスモデル”は終わったのではないか。大小に関係なく、その地域、地域での勝負になってきた」と指摘する。

 ある大手住宅会社では、全国80カ所の営業支店長に、その“地域で売れる”商品開発の権限を与え、地場の潜在需要の掘り起こしに努める。

 在来木造でもプレカット、補強金具が普及し、限りなく工業化住宅に近い。鉄骨、RC、在来など構造に関係なく躯体強度は同水準となり、外観的にも構造の違いは分からない。

 大手がリードしていた瑕疵保証にしろ、品質保証にしろ、品確法の施行で、住宅会社の規模を問わず同じ条件下で競うようになった。小手の弱点というデザインも CAD 活用でそこそこ勝負ができ、しかも低コストでできるとなれば、逆に大手の高コスト構造が際立ってくる。

 残された差別化は、さらなる顧客満足度、長く資産価値を失わない住宅。それには地場密着のサービスとともに、地域の街並みへの配慮が欠かせない。

 住宅生産性研究会理事長の戸谷英世氏は、「家の資産価値とは、住宅マーケットでその家が売れるかどうかにある。その決め手の第一は、(屋根外装など)デザイン、街並み。リモデル(リフォーム)する機能、性能は二の次」と言い切る。

 屋根業界の出番が増えそうだ。台風や地震に強い屋根施工の遵守とともに、街並みづくりに向けて、屋根のデザインや色、勾配など、イメージ提案力が今こそ、問われている。                             (本誌・吉田)

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No.27  2002年  7月  <夏号>

ネットワーク社会の到来危機突破に強力な“助っ人”

 ITの時代、ネット効用のひとつが、ある目的のもと、瞬時に多種・重層的なネットワーク化を容易にすること。住宅・建設の世界でも従来の商取引を変えつつある。

 「建築革命」をうたう設計事務所の全国ネットワーク「オープンシステム」。設計や工事監理を担い、施主の専門工事業への直発注を仲介する。また、ビル建築などの発注者に代わって企画や設計、施工などを運営管理し、工期・品質・コストの最適化を図るCM(コンストラクション・マネジメント)方式による電子商取引事例も着実に増えてきた。

 他方で、ネットを媒体とした住環境関連の非営利団体NPOも続々と誕生、草の根的な活動を展開している。

 住宅の品確法、性能規定を導入した改正建築基準法、住宅の増改築保証制度、建設リサイクル法、さらに既存住宅の性能表示制度――。過去数年の住宅・建設に関する矢継ぎ早の法施行は、資源を無駄にしない、環境保全にも配慮し、安全で長持ちする建物づくりが目的だが、別の狙いとして、住宅・建設業界の再編・大改造にあるのではないか。

 千葉に本部をおく全国展開の住宅FC。年々、完工実績を伸ばしているが、頑張っているのは地場工務店ではなく、これまで公共土木に頼ってきた地方建設業。FCに新規加盟、住宅に活路を求めているもので、その多くは二世経営者という。

 赤字に陥っている国も地方自治体も、公共投資の削減に動き出した。公共事業に頼ってきた、60万社ともいわれる地方建設業は企業存亡の危機に立つ。「いずれは半分に淘汰」との声も出るが、その危機突破策とは何か。

 大規模ネット化構想「とりりおんコミュニティ」――年商100億円の地方建設業100社が手を結めば、事業規模は1兆円。それが実現すれば、建設業再編の起爆剤としての資格は十分。

 これを提唱した近江八幡の建設業、秋村組の秋村田津夫社長は、「従来の業態・ビジネスではこの激変は乗り切れない。社会に必要とされる新市場を創造することができるかどうかが勝負」と言い切る(36n参照)。背景にあるのはネットワーク社会の到来である。                          (本誌・吉田)

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No.26  2002年  4月  <春号>

「和瓦」復権は、住まい手へのデザイン提案が欠かせない

 建材で戦後最高のヒット商品のひとつとされるカラーベスト。今また釉薬平板瓦(洋形瓦)で「屋根業界に構造改革をもたらした」との声が出る。

 「意匠性よりも、板金工事店でも葺けるその施工性が受けた」。いわば、瓦プラス技能で成り立ってきた焼き瓦の世界に、“施工革命”もたらしたというわけである。

 平板瓦は、和風であれ洋風であれ、住宅の外観デザインにとらわれることなく採用されている。

 だが、「日本の伝統や風土、景観を考えると、日本の屋根は、和形(和瓦)、とくに“いぶし瓦の和形”に優るものはない。平板瓦は和形のバリエーション」。これが瓦業界人の多数意見だろう。

 日射しによる陰影や朝昼晩で多彩な表情をみせる和形屋根の「甍の波」、「褪色する美しさ」――。設計力がその正否を決めるが、洋風建物にもよく似合う。

 では、経済論理が支配する住宅市場にあって「和形の復権」はありえるか。社寺の本葺き瓦技能者と同様、技能に裏打ちされた「瓦屋根デザインの提案力」にかかっている。

 住宅会社の屋根材や材工価格、施工マニュアルの決定に、屋根材メーカーが影響力を強めている。その対応策として、さる2月の屋根外装工事協会の意見交換では、「工事業ブランド」の構築が強調された(46n参照)。それには、施工・保証・コスト対応力が大前提となるが、もうひとつ、屋根工事業のプロとして、「屋根設計の提案力」が欠かせない。

 沖縄では安い中国産赤瓦が出回っているという。国内の粘土資源の枯渇と相まって、近い将来、中国産瓦の日本上陸もあり得よう。

 「愛知県三河の窯業展」の建築文化講演会で、建築家の芦原太郎氏は、単に伝統や“地場産”に頼るのでなく、「21世紀という新しい時代に、生活者に必要とされる新たな屋根屋根を提案していくべきだ」と指摘した(43n参照)。

 屋根を台風や地震、小屋裏結露などから守るのは屋根業界人の使命である。こうした屋根の耐久性保持に加え、「和形」復権は、住まい手に「和瓦屋根の真の価値」を提案していけるか否かにかかっている。           (本誌・吉田)

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No.25  2002年  1月  <新春号>

2002年、異業種連携の幕開け新素材の「新屋根材」も登場

 「この1年が勝負」という2002年の屋根外装業界。収益力の強化や成長・得意分野への経営資源の投入が明暗を分けそうだ。具体的には、事業統合や業務提携のほか、リフォーム分野、屋上緑化、太陽光発電など成長市場への新規参入、産廃再利用システム「事業」への取り組みなど、ダイナミックな動きが予想される。また、建築基準法の改正で新素材を用いた「新屋根材」も登場して来よう。

 こうした新市場への進出のカギを握るのは、新事業を核とする異業種のグループ化、加えて新たなマーケットの構築である。その意味で、今年は「異業種連携」時代の幕開けでもある。

 建材業界では、厳しい需要環境に対応した経営・事業体系の再構築が活発化。TOTO と松下電工、ニチハと大建工業といった業務提携、持株会社によるトステムと INAX の経営統合、三井物産と住友商事の建材販売事業の統合など、いずれも相互の事業の補完と収益体質の強化を狙う。瓦業界でも「連携」発表がありそうだ。

 これまで電気業界が市場を牽引してきた太陽光発電。市場の「自立」には、屋根を含めた住宅・建築業界のがんばりが欠かせない。また、建設会社などの新規参入が相次ぐ屋上緑化では、屋根をはじめとする建材、造園、住宅・建築など、異業種間の協調が求められている。

 産廃処理では、減量・再利用・再資源化という循環型システムの構築がテーマ。新築工事や改修工事から出る屋根・外壁材の残材、廃棄材の対応にも、回収・再利用・商品開発・マーケットの開拓という一連のシステム構築が求められている。今年は屋根・外壁業界、加えて住宅会社、肥料・造園業者など幅広い異業種による事業グループの旗揚げがみられそうだ。

 木や紙といった、あっと驚くような素材を使った屋根・外壁材も登場しそう。建築基準法改正で防耐火性能試験に合格すれば、瓦のような不燃材でなくとも屋根・外壁材として販売・施工できるようになった。このほど大臣認定となったのがアメリカではポピュラーな屋根材「ウッドシングル」(木製)と「アスファルトシングル」。前者は栃木県の娯楽施設の屋根に採用され、葺き上げた後に防炎薬剤を散布、後者は、基材仕上げに天然スレート採石を使用した。       (本誌・吉田)

 

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No.24  2001年  10月  <秋号>

強力! 販促「住宅ネット」最後はフェイス to フェイス

 まさに「強力!販促ツール 住宅ネット」。ミサワホームが7月の1カ月間、限定販売した「リミテッド25」の成約が同社過去最高の3728棟を記録した。この驚異的な成約件数を後押ししたのが“販促ツール”としてのネット利用である。

 「25」の資料請求は7305件、うち81%の5927件がネット経由である。話題性抜群の坪当たり25万円という通常の半値の単価設定、品確法の性能表示住宅、徹底限定したプラン・設備仕様、販売は1カ月間限定という異例の営業戦略が成功した形だが、これも計算しつくされたネット戦略があってこそ。

 同社ではその第2弾として、8月〜10月の限定で、坪単価30万円台に抑えた小屋裏3階建て住宅「ハイブリッド30」を販売中。うたい文句は「1階を賃貸用にしてローン返済していく」収入型住宅。

 ネット戦略の第1は、施主をいかに同社ホームページに呼び込み、資料を請求してもらうかだ。それには、@マスメディアの関心を呼ぶ話題性A品質・性能・アフターに安心感をもたらすブランド力。ただし、商談、契約はあくまで営業マンと顧客の面談が決め手となる。

 ネットをフル活用し、「建築革命」を標ぼうする設計事務所のネットワーク「オープンネットシステム」(全国205社)。いま「注文が多く、仕事を断っている」。工務店や大手住宅会社ではなく、大工、屋根工事店など専門工事会社へ施主が直接工事を発注する。その実務を仕切るのが設計事務所で、分離発注・原価公開でコストの透明化・軽減を図る。設計や施工監理のほか、業者選定も行う。

 ネット経由による建築家と施主の「お見合い」は日に1件、その成約率は6〜7割、今年は200〜300件の成約を見込む。

創業して1年足らずのITベンチャー企業ウィークエンドホームズ。

 ネット上に施主の希望を公開、一級建築士(登録519名・8月末)に対し設計コンペを実施する。また工務店(登録400社)からもコンペ方式で見積もりをとり、住宅完成まで同社が現場に立ち会う。

いずれの住宅ネット事例も、早く安く情報を提供できるネットの威力をフル活用した、不特定多数に「この指止まれ」を呼びかけるあくまでも販促ツール。商談がまとまるか否かは「フェイスtoフェイス」にかかっている。     (本誌・吉田)

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No.23  2001年  7月  <夏号>

なぜ少ない既築住宅の流通?まずは・情報開示・が必要

 住宅施策は、新築ではなくストック重視へと大きく転換した。既築住宅に手を入れ、長く価値を持たせようということで、住宅関連業界はこぞってリフォーム市場の開拓に力を入れている。既築(中古)住宅市場の活発化にも期待がかかる。だが、それにしても既築住宅の流通は米国の500万戸に対し日本は15万戸と極端に少ないのはなぜか?

 (社)住宅生産団体連合会は今年2月、米国(カリフォルニア州)へ調査団(赤井士郎団長)を派遣、その報告会が今春、東京と大阪で行われた。

 その調査報告によると、米国では住宅施策に新築、既築の区別がない。日本では15年もたてば建物の資産価値はゼロに近いが、米国では土地ではなく建物こそが資産で、永く住み続けるという意識が強い。家を売るときの譲渡益を期待し、普段からよく手入れして住宅の資産価値を高める努力をしているという。

 文化の違いといってしまえばそれまでだが、注目したのは、米国業界の「業務倫理規定」、そして情報開示である。米国では、既築住宅の流通で、価格や仕様、住宅履歴、取引参加者、取引内容など取引物件に関する情報が充分開示され、住宅検査も行われている。また、瑕疵保証制度も設備中心に普及しているという。

 6月15日の総会で業界団体では初めてという「事業者倫理憲章」を定めた、住宅業界団体などがつくる住宅リフォーム推進協議会。赤井士郎会長は記者発表で、次のように語った。

 「契約社会の米国の根っこにあるのが旧約聖書。契約履行の前提として倫理がある。新規参入の障壁はほとんどなく、米国でも未登録業者が圧倒的に多い。そのために倫理規程がある。今回、協議会が定めた倫理憲章の目的は何か。消費者に安心、信頼してもらうこと。

 また、消費者契約法とは何か。嘘をつくな、詐欺をするな、安いコストでお客様が喜ぶ最大の仕事をしないさいということ。引き渡したらサヨナラではなく、長くきちんと対応しなさいということ」。

 日本のリフォーム市場、ひいては既築住宅市場で遅れているのは、流通の環境整備。“倫理憲章”はさておき、まずは業界の「情報開示の仕組み」が必要だと思う。                                                      (本誌・吉田)

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No.22  2001年  4月  <春号>

ITで変わる住宅・建設市場電子商取引、CM、分離発注で

 まさに「情報技術(IT)で変わる住宅・建設市場」。そのキーワードが「電子商取引」「CM」「分離発注」など。

 さる3月の公開講座「どうなる建設マーケットプレイス」(日経BP社「KEN−Platz」主催)で、いま話題の@「CMnet」A「コンストラクション・イーシー・ドットコム」B「鹿児島建築市場」という電子商取引3事例が発表された。

 「建設マーケットプレイス」とは、ネット上での設計・施工・資機材、その他サービスを対象とした電子商取引市場。

 また、「CM(コンストラクション・マネジメント)」とは、発注者に代わって企画・設計・施工などを運営管理し、コスト・品質・工期の最適化を図ること。この結果、これまでのゼネコン一括請負方式とは異なり、施工は発注者から直接、各専門工事会社に分離発注される。

 森ビルとソフトバンク・イーコマース両社が設立したCMnetは、CM会社、設計事務所、積算事務所、施工者などの選定や建築資材調達の入札システムをネット上で発注者に提供する。

 イントラネットで結ばれる中小工務店のネットワーク、鹿児島建築市場では、CADセンターによる設計や積算、資材や工事の受発注システム、共同のプレカット工場、配送の一本化などで建築生産と設計業務の合理化とコスト軽減を強力に推し進める。メンバーは、屋根、左官など専門工事業、建材店も含む。

 NTTデータや大手ゼネコン5社らが設立したイーシー・ドットコムは、仮設・建築資機材の調達やリース業務の電子商取引サービスを始めた。平成15年度の目標は会員1100社、年商23億円。

 上記の事例のほか、ネット活用で注目されているのは「オープンシステム」。平成10年に「建築革命」を掲げて鳥取・米子で誕生、今では全国の設計事務所約150 社が加盟する。設計事務所が施主と設計や施工監理など“業務委託”契約を結び、木工事や屋根、サッシなど各専門工事業も施主と請負契約を結ぶ。専門工事業は、それぞれ「元請け」になるわけで、「ゼネコン、ハウスメーカー、工務店外し」を意味する。

 これから急拡大が予想される「住宅・建設ネット市場」は、既存の建設生産や受発注システムの変革を促しそうだ。                   (本誌・吉田)

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No.21  2001年  1月  <新春号>

住環境改善に規制強化を出て欲しい屋根の専門家

 「戦後の国民は、持ち家(新築住宅)という“阿片”を飲まされ続けてきた」新進気鋭の30代のある建築家は講演で、こう断じた。

 つまり戦後の経済復興で、国は、鉄鋼や石炭など重工業に重点投資し、住居の充足では、国民に持ち家を奨励してその“自助努力”に委ねてきた。こうした結果、今日の住まいや街並みの貧困を招いたというわけだ。

 ひるがえって同じ敗戦国の旧西ドイツはどうであったか。

 誰しもその街並みの美しさを褒め称えるが、ある解説書によると、「戦後、住宅貯蓄割増金法などで、勤労者の住宅取得を目的とした貯蓄に国が割増金をつけ、実際に家を建てるときは、国と州から建設助成金、企業からは持ち家奨励金が支給された。

 さらに持ち家の必要資金の70%まで国が期限100年の無利息で貸し出した。いわば100年ローン、三世代返済である。

 ただし、建築物の構造は100 年の耐久性を、屋根・壁はその土地の材料の使用を義務づけるなど、色を含め厳しく制限した」

 戦後最大級の惨事をもたらした95年1月17日の「阪神・淡路大震災」。当初、マスメディアは「家屋崩壊は重い瓦葺き屋根による」と報道、誤った「瓦屋根悪者説」が流布されたが、多数の死者や家屋の火災をもたらしたのは「老朽化した木造家屋群」。

 驚いたのは、大震災発生直後の2月10日・15日、大阪・東京で開かれた日本建築学会の「地震災害調査緊急報告会」。マンションや商業ビルなどの被害状況と鉄骨造や鉄筋コンクリート造の設計・施工の問題点報告に多くの時間が割かれたが、大惨事の原因となった「在来木造住宅」の報告は短時間、それも一番最後であった。

 ある木造研究者によると、コンクリート工学の研究者はたくさんいるが、木構造の専門家は実質10人にも満たないという。雨や風から家を守り、街並みや地域風土の形成に大きく寄与する「屋根」。だが、屋根専門家もまた極めて少ない。

 これまでの住まいに対する施策や研究体制・内容の抜本的見直しと、規制緩和ではなく「規制強化」なくして、本当の住環境の改善はあり得ない。(本誌・吉田)

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No.20  2000年  10月  <秋号>

住まいの空間は自然素材で瓦も「素焼き」「窯変」色へ

 これからの住まいづくりのキーワードのひとつは「環境・健康への配慮」とされるが、ハウスメーカーの新商品で際立つのは「自然素材へのこだわり」。工業化手法を活用しながら、内・外装材に自然素材のテクスチャ(素材感)を積極的に採用して「安らぎのある生活空間」を提案する。

 そのとき、自然のテクスチャで目立つのは、木・石・土、あるいは職人による自由な仕上げなど。内装クロスではいずれも非塩ビ製の材料を用いる。

 たとえば、住友林業の「FORESTF」では、外壁材に従来の土壁調に加え、職人による手作りの土壁調ランダム仕上げ、そしてアクセント用には石の素材感があるサイディングを採用する。

積水ハウスの木造シャーウッド住宅「エム・ナチュラルプラス」。木質感あふれた生活空間をアピールする。梁、柱、束などに用いた構造用集成材をそのまま室内に露出させたインテリア空間で木のもつ温かさを強調する。外壁材は湿式、乾式の2つの仕様を用意し、湿式ではアクリルシリコン塗装仕上げによる土壁の風合いが持ち味だ。

 さらに、窓庇やクリヌキ格子などに廃木材を再利用した合成木材の表面を凸凹加工することでより木の素材に近づけ、サッシやリビング天井も木調とした。

 積水化学工業のセメントと木片の複合外壁材「シンセライト」は、多彩な模様を出すことができ、切断・釘打ちが容易なことなどが特徴だが、「Newミオーレ」では砂岩調レリーフを採用した。もうひとつのタイル外壁では、割石調、クラフト調(手工芸調)、レンガ調の3種を用意する。

 ナショナル住宅産業の新商品「エルイデオ」は、調湿機能をもつ・稚内珪藻土・配合の内装建材、紙を主原料とした非塩ビ製の壁紙、そしてリサイクルガラスを活用したオリジナルタイルなどを採用する。

 屋根材でいえば、釉薬瓦の色調に「グリーン系」、そして無釉薬瓦の風合いをもつ「素焼き瓦」色や「窯変瓦」色の採用が増えてきた。釉薬“単色”仕上げではなく、焼き上がったままの瓦の自然色、深みのある色調が再評価されつつある。 (本誌・吉田)

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No.19  2000年  7月  <夏号>

性能と“家の価値”は違うめざすは「景観材」太陽電池

 住宅品質確保促進法が施行された。10年間の瑕疵担保責任特例制度はすでに4月からスタート、住宅性能表示制度は今秋から動き始める。

 品確法関連取材で注目したのは、日本木造住宅産業協会(木住協)の「建材・設備性能早見表」、そして日本ツーバイフォー建築協会の「建材便利帳」の作成。

 いずれも性能表示住宅を設計する際、各表示項目・性能等級に対応した建材・設備機器の選択を簡便にするのが目的。屋根外装など建材業界は、製品別「性能」公開が必要となりそうだ。

 住宅FC本部の取材では、品確法施行で「住宅の性能を評価する共通のモノサシができ、これで地場の工務店も大手住宅会社と同じ土俵に上ることができる」という強気の発言が目立った。各FC本部は品確法施行を追い風として会員増強に動いているが、まさに真価発揮はこれから、とみた。

 住宅業界の直面する課題は、品確法・改正建築基準法・建設工事資材再資源化法(リサイクル法)への対応だが、さる5月25日の木住協総会後の記者会見で、伊地知節三会長は「品確法は当然守るべきこと。ただ、住宅の性能と“家の価値”は違う。暖かい家、外観デザインが美しい家、使い勝手がよい家づくりこそ追求すべき」と語り、暗にこれから予想される“住宅性能の過当競争”を問題視した。

 地球温暖化防止(CO2削減)など環境保全から、新エネルギーのひとつとして話題を集める「太陽光発電システム」。2010年の導入目標として、98年度導入実績の実に38倍の500万kWを掲げる。

 6月14〜16日に開かれた太陽光発電システムシンポジウム(主催・太陽光発電協会)。その普及拡大には発電システムの一層のコストダウン、国の思い切った補助(増額)、官・産・学・民の一致協力が欠かせないという指摘があった。

 そして強調されたのが太陽電池「屋根葺き材型」の推進。「電気機器」ではなく「電気付き建材」という捉え方だ。本格普及のカギを握るのは「屋根建材としての付加価値化」、すなわち融雪、太陽熱、断熱などを取り入れた複合システムの開発と、建築における景観材料としてのデザイン開発である。  (本誌・吉田)

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No.18  2000年  4月  <春号>

「品確法」で競争熾烈に“雨漏り10年保証”逆提案を

 「改正建築基準法」との対比で営業への影響が“メガトン級”とされるのが「住宅品質確保促進法」(品確法)。各建築業種が等しく「最低守るべき」一定の水準を定めた基準法に対し、一定のルールの中でやり方ひとつで差別化でき、一気に優位に立てるのが品確法。基準法は「守って当たり前」だが、品確法は「自由競争の世界」といえる。

 改正建築基準法のうち、2年以内施行部分の「性能規定化」が6月に実施される。屋根では「防火関係」「構造関係」などが関連してくるが、台風被害を防ぐ屋根の風荷重の設計風速は、現行の仕様規定と同レベルの「最大瞬間風速50m/秒」程度に落ち着きそうで、大きな変更はなさそう。

 ただし、瓦屋根でいえば、大震災以後、基準法レベルの施工法が浸透したとはいえ、さらなる徹底が強く求められる。そうでないと、業界全体が信用を失墜し、業界そのものが沈没しかねない。

 一方、今秋には実施予定の住宅性能表示制度では、表示項目や表示等級の選択は自由で、施主にどの性能面でより安心・安全を約束するかで優劣が生じる。大手住宅会社ではすでにその競争が始まっている。「住宅型式性能認定」取得でも大手が優位とされ、結果的に住宅業界の淘汰・再編は避けられそうもない。

 屋根外装業界に直接関わってくる4月スタートの瑕疵保証制度。従来の瑕疵保証2年が10年に伸びただけという解釈も成り立つが、防水工法を徹底していくこと、そして雨漏りが生じたら、紛争が起きる前に誠意をもって対応することが基本姿勢となる。

 ただし、これまで屋根外装材メーカー・工事店の連帯保証を裏付けとして施主へ「雨漏り10年保証」をしてきた大手住宅会社にならい、従来、取り決めが曖昧であった地域工務店でも同様な保証を求めてくるのは必至。大手に伍して「安全で安心できる工務店」を打ち出すとなれば、発注先工事店の選別をより強めよう。

 屋根外装業界にとっての問題点は、さらに副資材費や手間賃がコスト増となる施工を要求され、受注単価は従来通りというケース。対応策はひとつ、「この材料・工法であれば、メーカー、工事店の連帯保証で10年保証します」という提案で逆に主導権を握ること。                         (本誌・吉田)

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No.17  2000年  1月  <新春号>

「屋根外装業のビッグバン・」“住宅新法”機に選別の時代

 「屋根外装業のビッグバン」――業界は選別・淘汰の時代を迎えたという声が多い。すなわち“住宅新法”や産廃処理規制の強化(リサイクル)、さらにはIT(情報技術)革命を契機として。いずれも「企業」としての対応が不可欠で、手抜き工事業やにわか職人は排除される“良貨が悪貨を駆逐する”方向に向かうのではないか。以下は、屋根外装工事業の今後の業界展望である。

 A社=納期(工期)のスピード、きちっとした施工マニュアル、保証能力、メンテ・アフター体制の充実が問われる。

 B社=10年後、業界は製・工とも3割減か。工事業の方向は大きく二つ。@屋根・壁、リフォーム、太陽電池工事など外回りの総合屋根外装工事業、Aマイスター型、いわゆる社寺瓦屋根など施工の高付加価値化、技能重視型。総合外装工事業の近い将来の姿として、同業者による合併、あるいは大手住宅会社か屋根材メーカーの工事子会社化もあり得る。

 C社=「住宅新法」時代には、徹底した安全対策・現場管理(自主検査)、迅速なクレーム対応、財政的裏付けのある保証能力など、総合力が求められる。

 D社=屋根外装工事は「市場経済」のもと、“一物二価”もあり得る。すなわち積雪寒冷地工法、耐風工法など地域の気候特性に応じた工法で付加価値化を図るべきだ。住宅新法で高、中、並など工法のメニュー化がしやすくなる。

 E社=カギは「社会に必要とされ続ける企業」。街並みへの提案や産廃対応など環境問題への取り組みは必須の条件だ。

 住宅新法の本質的な目的は、施主からクレームの出ない安心・安全な屋根外装。その意味では住宅会社も下請けも五分の立場での対応が求められる。雨漏り10年瑕疵担保責任を負う住宅会社は、メーカー、工事業へ雨漏り10年保証を求めるのは必至で、その選別をより強めよう。一方の業界側では、材料はメーカー、施工は工事業という保証責任の明確化による材・工のグループ化で対応を急ぐが、住宅会社を選別するケースも出てこよう。安値受注では長期保証が可能な施工品質の確保はおぼつかない。

 産廃問題では、デザイン、品質・機能、コストに加え、端材が出ない製品・工法も選定基準に加わる。                            (本誌・吉田)

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No.16  1999年  10月  <秋号>

「台風」襲来、屋根材の供給責任を考える

この9月下旬、九州に上陸し多大な住宅被害をもたらした台風18号。厚形スレート(セメント瓦)屋根の被害が目立ったが、施主は補修用瓦の入手に難儀したという。製造中止で厚形メーカーが激減したためだ。やはり昨年の9月、和歌山に上陸して近畿、中部と猛威をふるったのが台風7号である。

 和歌山に営業所を構える、ある屋根工事業の社長は、当時の状況を述懐する。台風上陸の翌日から、店に施主が瓦を求めて列をなし、従業員は応対に大わらわ。被害にあった屋根材の多くは、地場産瓦と淡路瓦の昔の型。求める瓦は、袖瓦3枚、丸瓦2枚など少量で、その割には種類が多い。中には生産休止に伴う廃判の瓦も少なくない。

 定価の70%で瓦を販売したが、施主への応対や在庫してあった倉庫の奥から瓦を探し出してくる手間や時間を考えると、 「定価の10倍でも帳尻は合わない」。ましてや屋根修理要請の電話も鳴り続ける。そこでとった非常手段が「貼り紙」。

 「飛ばされた瓦を見本に、瓦を選んで持ち帰って下さい。ただし、瓦の枚数・種類、住所、電話番号を記帳して下さい。後日、精算させていただきます」――。従業員は屋根修理のための下見調査に出動した。

 「人の良心に訴えて対応した」というその店の社長は、「瓦の形状や働き寸法が違う瓦が一般の施主さんには判らない。いぶし瓦、釉薬瓦にしても現在、新築に使われている瓦はほとんどが53判。被害を受けた瓦は六四判や五六判や、さらには廃判で生産されていない色物(釉薬瓦)など。一番困るのは消費者。メンテや災害補修用の屋根材はメーカーに供給(在庫)責任があるのではないか」と屋根材業界の姿勢に疑問を呈し、「“住宅新法”制定は遅きに失するくらい」と語る。

 “住宅新法”(住宅品質確保促進法)の趣旨は、屋根でいえば、台風が来ても屋根材が簡単に飛ばされず、少なくとも10年間は雨漏りしないこと。

 屋根材の新デザインや新色の製品開発は当然として、10年といわず30年、50年といった長期にわたって消費者の屋根の維持管理へ配慮することも必要だろう。                                      (本誌・吉田)

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No.15  1999年  7月  <夏号>

住宅に“地方の時代”来る地域の風土・文化を取込む

 今、住宅産業界が直面している課題の一つは、大きな地震が来ても安全・安心、CO2削減にも貢献する省エネ住宅といった高性能住宅の追求、そしてもう一つが、ユーザーの感性や周囲の環境(自然、街並み)を重んじた多彩な外観デザインの提案――これは、大手ハウスメーカーの新商品からうかがえる今後の住宅開発の方向である(27〜37nに特集)。

 大手各社の新商品では、住宅の耐久性・耐震性、高気密・高断熱化、・次世代省エネ基準・対応、健康仕様など、住宅の性能規定化・性能表示・瑕疵担保10年保証という“住宅新法”を先取りした高性能住宅の発表が目立つ。大手メーカーの一部では、すでにして構造躯体や雨漏りの無条件「20年保証」実施の検討に入っている。

 さらに、高機能住宅といった観点からみると、水面下で急ピッチに進むのが、高気密・高断熱・省エネ化と一体となった「太陽光発電システム」の標準装備住宅の開発である。

 それともうひとつ、多彩な外観デザインの提案が活発化してきた。その主要な構成部位である屋根・壁のデザイン、素材、色彩の選択肢をたくさん用意し、その組み合わせでユーザーの“十人十色”のこだわりに対応する。その時、「木」や「石」「土」といった“自然の素材感”をとくに重視しているのが特徴だ。

 とりわけ、これまで外壁に比べて脇役を務めていた「屋根」のデザイン開発に熱が入っており、多様な屋根形状・勾配の組み合わせで、重厚感あるいろいろな屋根デザインを提案し、釉薬平板瓦(洋形瓦)も積極的に採用する。

 そして今後、大きな流れとなりそうなのが「地域対応型住宅」。各地域の気候・風土や、これまで長い間受け継がれてきた各地域の歴史や文化をも取り入れた“新・地域住宅”の開発、提案である。

 先行き、かつてのような住宅需要の伸びは期待できそうもない環境下、地域に根ざした快適な住宅を提案することで、建替え層など地方の潜在需要も掘り起こそうという狙いでもあるが、その時、さらに「屋根」の出番が増えることは間違いない。(本誌・吉田

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No.14  1999年  4月  <春号>

地場瓦の再興は「地域型木造住宅」の開発で

 今号の特集「“こだわりの瓦”と地域文化」(21〜33n)で地方の瓦産地を取材して改めて痛感したことは、各産地固有の長い歴史と今日の苦境である。

 瓦屋根は社会的地位の象徴でもあった。時の政治権力者から一般民家へと普及してきた歴史でもある。お寺に始まって、お城や武家屋敷、商家、そして裕福な民家でも豪華な入母屋造りでその地位を誇示した。火除けの“うだつ”、棟高の“棟飾り”、表情豊かな鬼瓦……。かつて瓦の窯元は土地持ちの資産家であり、庄屋や蔵元と並ぶ地方の名士でもあったという。一般民家に瓦屋根が本格的に広まったのは明治期以降で、瓦1400年の伝統のうち、普及材としての歴史は100年足らずとなる。

 それが造られた地場の一定地域に供給される瓦を地場瓦とすると、その産地は全国で40前後。その昔、瓦産地が誕生したのは、近くで良質の粘土や燃料の松材などに恵まれたこと。瓦工場は船輸送に便利な海岸地帯や川沿いに立地した。

 昭和の時代、各産地では、真空土練機や成形機の導入など機械化が進み、その焼成法も松材・松葉によるだるま窯からガス焼成窯へと製法の近代化を図った。

 伊藤ていじ氏は『日本の屋根』(叢文社刊)で、「一枚の瓦も手作りであり、人々は自らの手で、屋根の形と構造を作り上げていった。もし、私たちが屋根にその地方や住んでいる人たちの個性を見出すとしたら、手作りだということに大きく由来している」と述べている。

 この手作りの味に加え、いぶし銀のサエなど発色の美、耐風・耐寒瓦という機能、さらには独自の瓦の判形など、まさに地域の気候風土から生まれたのが地場瓦。ところが今日、その地場瓦がしだいに姿を消しつつある。

 建築の洋風化、新屋根材や大手産地瓦の進出。一方で、高コスト、原土枯渇、後継者難・従業員の高齢化など産地内事情も横たわる。

 地場瓦の再興は、窯元側はもちろんのこと、その地域の大工・工務店の頑張りが前提となるが、ある建築家は「林業や工務店、それに瓦など建材業も加えた地域のネットワーク化による新しい地域型木造住宅の開発と普及が不可欠」と主張する。そのときの切り口は地域固有の「町並み」である――。          (本誌・吉田)

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No.13  1999年  1月  <新春号>

全国「瓦フォーラム」開催を行政・建築士・住民参加で

 86年に発足した木造建築に係わる技術者や建築家、研究者、行政関係者などを会員とする「木造建築研究フォラム」(内田祥哉会長)。年3回、公開フォーラムを地方の自治体や団体との共催により日本各地で開催しているが、昨年10月の「第34回公開フォラム」は“森林都市のまちづくり”を宣言する静岡県天竜市。

 このなかで注目したのは、山形県金山町で「かねやま杉」のブランド・付加価値化活動を指導してきた川崎俊一氏の発言。これまでバラバラであった植林業、伐採業、製材業、大工、設計者、一般町民のネットワークの構築と連携に最大努力してきたという。次なる活動が首都圏設計者との交流で、かねやま杉“産直住宅”の最大市場への“出前”を狙う。

 また、東京の建築家・長谷川敬氏が主宰する「東京の木で家を造る会」。山主、製材業、建築家、工務店、職人、それに一般市民が手を結んでの家づくり勉強会の事例発表に関心が集まった。

 町おこしの一環として、自治体や商工会を中心に、地元瓦産地の再興を後押しする形で「瓦文化」の中核施設づくりと情報発信活動が徐々に広がってきた。

 たとえば、三州瓦産地(愛知)内の高浜市に94年開館した「かわら美術館」。95年には八幡瓦の滋賀・近江八幡市に瓦博物館「かわらミュージアム」、97年には愛媛・菊間町(菊間瓦産地)に「かわら館」 がオープンした。10年前から 「瓦」を町おこしのテコとする山梨・若草町では、今春にも「若草町瓦会館」が完成する。

 鬼神・酒呑童子(しゅてんどうじ)のお伽噺が伝わる京都・大江町が事務局を務める「日本鬼師の会」。会長は、いぶし瓦素材を屋根ではなく、床・壁・舗道などに用い、意欲的な建築活動を行っているカワラマンこと山田脩二氏。今秋の第9回全国研修会は初の東京開催となる。瓦ではないが、この1月下旬には、“桧皮(ひわだ)の里”の奈良・山南町で初めての「桧皮葺き」「柿(こけら)葺き」技術保存全国大会が開かれる。

 これら市や町の「瓦と町おこし」活動をもう一歩発展させ、瓦の各地場産地をはじめ、瓦を支援する自治体・商工会など関係者が一堂に会する、年1回、開催地持ち回りの「瓦フォーラム」開催を提案したい。できれば “まちづくり” 推進中の建築士や住民代表の参加も得て。                (本誌・吉田)

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No.12  1998年 10月 <秋号>

厳しくなる「雨漏り」監視  建設省が10年補償制度

 屋根の第一の使命は雨露をしのぐことだが、「雨漏り」に対する監視の目がより厳しくなりそうだ。

 建設省は住宅新築後10年間は一定の性能の確保を住宅会社などに義務づける新制度を発足させるという。背景にあるのは、急増している新築住宅の欠陥トラブルで、全国紙やテレビでも欠陥住宅を糾弾する報道が相次いでいる。

 住宅はPL(製造物責任)法の適用除外。また民法に基づく損害賠償請求は消費者側に住宅の欠陥を証明する義務がある。これに対し建設省の新制度は、屋根(雨漏りなど)を含む住宅の基本的な性能に欠陥が見つかれば、業者側が正当性を証明しない限り、無償補修を義務づけるもの。併せて、戸建住宅の3分の2を供給する中小工務店の登録が多い(財)性能保証住宅登録機構の保証制度の充実を図っていく考え。

 登録機構の保証制度は、機構に登録された住宅に事故が生じたとき、その補修費用に対し所定の保険金を登録業者に支払う仕組み。保証期間は、基礎、床、壁、屋根(雨漏り含む)の重要な構造部分は10年(仕様により雨漏り5年保証)。

 一戸建住宅登録は年々増えているものの、平成9年度は7万2456戸(在来木造97.3%)、一戸建木造新設住宅に占める割合は14.9%に止まっている。

 @築7年、基礎の不良施工で瑕疵(かし)補償見積額は2600万円A設計ミスで基礎が沈下、全面建て替え(見積額5760万円)で係争中B上棟後、施工不良が見つかって工事中断、瑕疵補償見積額は1350万円――。9月に開かれた、首都圏の地域工務店5社による木工技能者育成の「番匠塾」第42回公開講座「欠陥住宅問題を究明する」で発表された欠陥事例である。

 講師の大野年司氏(椛蝟建設、埼玉県行田市)は、欠陥住宅防止策として、@たとえば仕事の下請けへの丸投げを厳禁するなど、建設業許可基準を厳しくするAトラブルが発生したときの業者側の迅速な対応B地盤まで責任を持つかどうか、保証期間やアフターメンテナンス基準を明文化するなど契約書の見直しが必要と指摘し、そして一番肝心なことは、「釘を打つ、あるいは壁を張る現場職人さん一人ひとりが間違いのない施工をすること」と訴えた。        (本誌・吉田)

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No.11  1998年  7月  <夏号>

キーワードは“地域特性”  新「瓦文化」は生まれるか

全国各地で町おこしが盛んだが、その時のキーワードのひとつが“地域特性”。「景観」でいえば、その地域が歴史的に受け継いできた風景を町の財産として守り発展させていくこと。再開発でどこでも同じような顔を持つJR駅前商店街が象徴する、高度成長期における標準化・画一化に対する反省でもある。

 地方自治体で計画する文化施設や小・中学校、老人ホームなどの公共建築でも、その地域の中核施設として“地域特性”が色濃く反映される(38nから特集)。

 そこでは“手造りの瓦”や“土壁”など伝統的デザインを試みる事例が多い。ただし、かつての瓦一枚一枚色が違う窯変色の仕上がり感を複数の単色の混ぜ葺きで、また、なまこ壁はタイルを用いてデザインするなど、工法を含めて現実的な手法を採る。予算とコストとの見合い、そして材料の耐久性などを考慮しての選択でもある。建材業界側からいうと、まさに新たな提案力が問われている。

 瓦の地域特性というと、地元の土で焼いた地場産瓦、そして鬼瓦、飾り棟などその地域に伝わる役瓦や屋根の形、瓦の納め方などを指すが、その継承となると悲観的な思いを強くする。

 @経済性優先の時代A建築様式ががらりと変わったB鬼瓦などのつくり手が減ってきたCまた、瓦屋根の歴史と良さを本当に解る建築・設計者も少なくなってきた――。農山村の集落でも、その地方特有の鬼瓦が鎮座する入母屋住宅が次第に姿を消し、大都市と同じ洋風の住宅が確実に増えている。

 戦後の粘土瓦の歴史は、地方産地の淘汰・大手産地の規模拡大・量産低コストの“工業製品化”追求の歴史でもある。粘土瓦の出荷量は年15億枚前後と変わらないが、製造業者数は激減した。昭和51年の業者数は3040、それが20年後の平成8年には78%減の 675に(通産省工業統計)。かつて全国各地に散在していた地場の瓦産地が次第に姿を消し、今日、三州(愛知)、石州(島根)、淡路(兵庫)の三大産地が瓦総量の80%近くを賄い、全国に供給する。

 粘土瓦1400年の歴史は姿や形、工法に工夫を凝らしてきた歴史でもある。果たして地方色豊かな新たな“瓦文化”を生み出せるのかどうか。  (本誌・吉田)

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No.10  1998年  4月  <春号>

釉薬瓦の“21世紀戦略”  金属屋根も太陽光も売る

 全国釉薬瓦の50%強を供給する三州産地(愛知)メーカー。最近、中部地区を中心に、瓦工事店の求めに応じて主材の瓦と釘や面戸、下葺材など副資材をセットして販売するケースが増えてきた。

 化粧スレート系に加え、釉薬瓦洋形でも増えてきたハウスメーカー物件での副資材セット邸別配送が、最近では汎用品の和形でも登場してきた。過剰サービスとなって儲けにならないとの声も多い。だが、むしろ積極的に対応すべきではないか。必要なモノを必要な時に必要な場所に届ける、いわば瓦工事店を対象としたCS(顧客満足)対応の一環として。

 住宅不況で仕事量が減ってきた瓦工事業界。窯業系屋根材は何でも扱い、さらには外壁・雨樋・金属屋根工事にも意欲を示す。一得意先・一物件当たりの受注額アップをめざそうというわけだ。

 同様に需要不振に悩む釉薬瓦製造業界。どこに活路を求めるべきか。一部メーカーが実践する「生産は単品、販売は多品種化」戦略もひとつの選択肢だろう。金属など競合異種屋根材や雨樋、棟換気など機能商品も積極的に販売していく。

 瓦の拡販を主眼としつつ、得意先が必要とする「屋根外装に関する建材・部品・機器は何でも取り揃えますよ」という新生“屋根外装総合流通業”的方向だ。瓦製造・販売の一極依存による経営リスクも分散できる。

 得意先瓦工事店との一体化がより強まれば、両者連携で顧客の住宅会社などへの提案営業もやりやすくなる。その場合の要点は「屋根材」ではなく「屋根外装」としてのデザイン・性能・機能の提案だ。

 だが、主力市場が住宅、非住宅で異なるとしても、工法性能重視の金属屋根材メーカーに対し、釉薬瓦メーカーはいまだ材料性能を重視する(本誌59n参照)。福岡ドームや関西空港、東京・ビッグサイトに象徴される三次元・曲面デザインの金属大屋根は、長年、金属屋根メーカーが製品・工法の技術革新に努力を重ねてきた証でもある。

 脚光を浴びる太陽光発電。太陽電池パネルの主役は電気付き建材の「屋根材一体型」になりそうだ。瓦屋根が減るとの声があがるが、逆に瓦屋根+電池パネルのシステム工法の開発に取り組む、“電池パネル”も販売していく――。釉薬瓦メーカーの挑戦が待たれる。                             (本誌・吉田)

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No.09  1998年  1月  <新春号>

「外観」競争時代が到来した  屋根外装にも“こだわり”

 戦後50年、持家重視の政策で総計5000万戸の住宅が建てられ、すでに量的には充足しているが、ここにきて大きな変化が起き始めている。@安全・高耐久・高齢化に対応した住宅A環境や健康に配慮した住宅ニーズと、B高齢化・少子化で10〜15年先に住宅建設100万戸割れ時代の到来C断続的な地価下落という構造的な変化だ。高性能住宅需要の高まりと住宅のパイの減少は、住宅メーカー主導の供給から、消費者が自分の“好み”で家を建てる時代をもたらす――以上は、あるシンポジウムでの今後の住宅市場展望である。

 各ハウスメーカーの「98年中高級商品」にもその変化は如実に現れている。いずれも、@さらなる高性能・高機能化住宅A従来に増して、施主の“こだわり”に応える商品設計が目立つようになってきた(40nから特集)。

 屋根外装を例にとれば、屋根形状、屋根・外壁材料、その色、そして屋根・壁・といの多様な組み合わせなど、幅広い選択肢が用意されている。

 住宅の「性能競争時代」が唱えられているが、同時に「外観(外装)競争時代」の到来でもある。厚もの・深彫りで多種多様な意匠開発を競う窯業系サイディングと同様、屋根材にも厚もの新製品がさらに増えていきそうだ。

 施主の「個性」を重んじた住宅づくりとはいっても、“個”が突出しては町並みを損なう。ハウスメーカーでは住宅供給者の立場から、周囲の景観との調和にも配慮した設計を強調する。

 もう一つの新しい動きが、@屋根・外壁材の「オリジナル化=部品化」A「商流の短縮化」「多能工化」。コスト削減の一環でもある。あるハウスメーカーの商品開発担当者は、「建材(屋根材)開発は、まず施工の簡易化から出発すべき」と提案する。屋根材の新製品採用の際の判断は、まず施工性と材工トータルコストと語る。

 加えて将来、その可・不可によっては住宅産業界の“再編”をも引き起こしかねない国際規格ISOへの対応。ハウスメーカーではISO認証取得に相次いで動き出した。既存の採用建材や流通、工事発注体制の見直しは必至といえそうだ。                                     (本誌・吉田)

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No.08  1997年  10月  <秋号>

「独創」と「ネットワーク」で  首都圏“販・工店”の活路

 新築住宅の最大市場である首都圏の窯業系屋根材販売・工事業界――。新築住宅の落ち込みで経営環境は厳しさを増しているが、ここにきて新たな動きが出てきた。その底流のキーワードは「独自路線」と「ネットワーク化」となろうか(17〜32nに特集)。

 首都圏の新築住宅に圧倒的に多く葺かれているのは汎用品の化粧スレート。だが、今後の屋根材市場は「多様化」に向かいそうだ。住宅メーカーは、機能・性能をより高めた新商品開発と差別化営業でしのぎを削っているが、内装、設備機器、あるいは外壁と同様、屋根デザインでも他社商品にないオリジナル屋根仕様で高級感を演出する。

 屋根業界の事情も同じで、自社独自の経営戦略をより志向する。先行き、仕事の絶対量の伸びは期待できそうもない厳しい需要環境に対応し、自社の得意分野や他社とは異なった営業で活路を見い出そうというわけだ。

 汎用品の化粧スレート屋根材ではすでに大手住宅メーカー対応の製・販・工の流通体系が構築されているが、これとは別に三州産地(愛知)の釉薬瓦平板、あるいはノンアス系化粧スレート屋根材など各種屋根材メーカーとの連携強化を探る動きが活発化してきた。裏を返せば、「販」「工」の言い分が通る流通づくりだ。過去数年来の輸入住宅の増大や新工法であるスチールハウスの登場も、新チャンネルづくりのチャンスと捉える。

 首都圏販・工店が挙げる今後の課題は外観デザインや野地から仕上材(屋根材)までの屋根工法などの提案力、いわばオリジナル営業である。加えて施工力の拡充と施工品質の標準化。

 その対応では、いずれにしても製・販・工の統合力が欠かせない。相互の弱点を補完し、相乗的な力を得るためにも。建設省で進めている建築基準法の改正、その後の住宅性能評価・表示制度など性能保証の包括的なシステムでは、製・販・工一体での取り組みが不可欠となる。

 業界の一部で、屋根、外壁などで新たな「ネットワークづくり」に乗り出した。大手建材メーカーでは、構造躯体の新工法を開発、地場工務店のFCを積極的に推し進める。住宅メーカーなどを顧客とした外装版(屋根・外壁・雨とい)「FC」も出てきそうだ。                                (本誌・吉田)

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No.07  1997年 7月  <夏号>

リフォーム時代がやってきた 試される「屋根外装提案力」

 住宅リフォーム市場は、2010年には10兆円規模に成長し、リフォームが住宅投資のけん引役に躍りでるという(34〜52nに特集掲載)。注目されるのは、リフォームでもまた、新築市場と同じ産業構造の変化と多・異業種が入り乱れての「新規ビジネス」の様相がみられること。

 リフォーム需要を促す大きな要因は二つ。一つは消費者。大震災を機に住宅に安全性や耐久性を求める声と暮らしを快適にしたいというニーズが高まってきた。もう一つは住宅産業界の事情。新設住宅は先行き大きな伸びが期待できず、勢い、リフォーム市場に期待を寄せる。

 リフォーム産業の方向は、大別して内から外まで請負う「総合型」と屋根、外壁、塗装など専門工事の「特化型」の2つ。事業内容も質的に変化しつつある。

 これまでの増築・改築、あるいは修繕といったハードの仕事から、住宅の耐久性・機能性・快適性の向上のニーズに対応した提案営業が求められている。それと、コストダウン(施工の効率化)努力である。

 現在、リフォームの過半を担っているのは大工・工務店、加えて屋根や塗装、塗料、水回り、電気などの専門工事店。

 これに対し、事業規模の大きい大手住宅メーカー・不動産系のリフォーム企業、FC(販工店)展開の大手住設機器・建材メーカー系、デパートなど流通系、リフォーム専門販売会社系などのシェアは20%にも満たないという。だが今後は、提案力があり、リフォーム事業の組織化・システム化に取り組む、これら大手が躍進するとの予想だ。

 ただ、リフォーム事業の成否を握るのは、新築同様、「地場に密着」した営業とサービス、そして「信用力」。大手のリフォーム事業のFC展開の狙いもそこにあり、建て替え受注も視野に入れる。

 屋根工事業はリフォーム事業にどう取り組むべきか。自社施工のOB客や得意先工務店ルート、リフォーム専門訪問販売会社ルートに頼る、あるいは大手のFCに参加するのも選択肢のひとつ。

 ただ、単なる雨漏り修理や老朽家屋の葺き替え分野では、総合型企業やFC系、訪販系との受注競争が避けられない。今後、地場での信用と専門職種という強味を生かした、営業・施工・外装プランの総合力が問われよう。  (本誌・吉田)

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No.06  1997年  4月 <春号>

デザイン・工法・流通が変わる 電気+屋根=太陽電池パネル

 既築・新築住宅の屋根に太陽電池パネルがのる「太陽光発電住宅」1万戸時代がやってきた(49nから特集)。2000年には6万戸超の市場に育つという。国や電力会社を初め、半導体、ハイテク機器・設備、家電、電気、住宅、建材(屋根)など、それこそ多種多様な業種が参画しての新産業・新市場創りでもある。

 同時に、太陽電池パネルを「電気設備+屋根(材)」として見ると、独自の屋根デザインや工法、流通体系が構築されよう。

 まず、屋根形状。日射量のある南面が最適となれば、太陽電池パネル搭載の住宅設計では、南面が大きい切妻屋根の採用が増えていきそうだ。

 それと景観。現在の和風から洋風へという住宅外観の大きな流れは、日本人の生活スタイルの変化を反映したものだが,太陽電池パネル屋根は「まず電気ありき」から出発しており、外観デザインにも配慮した、将来は主流になると見られている「屋根一体型」にしても、硬質・無機質な屋根イメージが避けられない。景観重視の中、既存の町並みとどう融合を図っていくかが大きな課題になる。

 太陽エネルギー利用には熱と光とがあるが、一時、急速な普及拡大をみた熱の代表格である太陽熱温水器も、今ではかつての勢いがうそのよう。見栄えの問題もその大きな原因の一つという。

 そして工法。「屋根建材型」太陽電池パネル標準搭載の新築住宅では、クレーンで吊り上げて据え付ける工業化手法が採られよう。

 通常の屋根材+太陽電池パネルの「見掛け屋根一体型」では、デザインや取り合い部での納まり、雨仕舞に配慮すると、通常の屋根材には、相対的に鋼板や化粧スレート系の採用が考えられる。

 加えて流通・施工体制。太陽電池パネルの取り付けは、現状では電気工事店などが多い。太陽光発電住宅が増えるにつれ、電気、屋根両工事店の連携、同時にこれまで住宅分野に弱かった金属屋根メーカーに加え、電気工事店など異業種の住宅屋根市場への新規参入も予想される。

 雨露をしのぐ屋根、景観を創造する重要なファクターである屋根――。高機能を付加した太陽電池パネル屋根の登場は「建築革命」(工学院大学・中島康孝教授)との指摘がある。                           (本誌・吉田)

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No.05  1997年 1月  <新春号>

工務店の「構造改善」に呼応し 屋根デザインや性能提案を

 阪神・淡路大震災で槍玉にあげられた“木造住宅”と“瓦屋根”。いずれもその後の経営環境は厳しいものがあるが、期せずして昨年、「木造建築工事業」((社)全国中小建築工事業団体連合会)と「瓦屋根ふき業」((社)全日本瓦工事業連盟)両業種が、中小企業近代化促進法の指定業種及び特定業種に政令指定され、今年から両業界の本格的な構造改善事業計画がスタートする――。

 漸減しているとはいえ、木造住宅(軸組工法)は、戸建住宅の年間シェア70%弱を占め、その大半を町場の工務店が供給する。だが、その経営基盤が弱くては、日本の住宅の「質」向上や居住環境の改善も危うくなる。では、工務店はどういう経営を目指しているのか? その答えの一つが、95年秋に財性能保証住宅登録機構が建設省の委託事業として実施した「工務店経営実態調査」結果である。この調査は、元請け工事を主に行っている工務店を対象にアンケート調査を行ったもの。

 今後の経営方針では、「積極的展開」が83.8%に上る。経営の変革なくして苦境打開はあり得ないとの認識を示すものだが、具体的には、リフォームなどの受注、不動産や設計監理、共同化事業など。生産性向上ではプレカット工法への取り組みなどをあげる。とくに注目したのは、大規模工務店は「マネジメント型経営」、小規模工務店は「技能特化型経営」を志向している点。また設計体制では、小規模工務店は「設計事務所との連携」をあげ外部活用型なのに対し、大規模工務店では「設計責任者の採用または拡充」「CADの導入」「自社住宅商品の標準プラン」など、自社体制の拡充をあげる。商品企画では、「高耐震・高耐久住宅」「高齢者仕様住宅」「高気密・高断熱住宅」の開発を計画し、大手ハウスメーカーへの対抗意識もうかがえる。

 工務店と“共存共栄”“運命共同体”の関係にあるといっても過言ではないのが屋根工事業。「経営」と「技能」への二極化、施工の合理化の追求、リフォームや共同化事業への取り組みなどは、まさに屋根工事業の課題でもある。工務店の「構造改善」に呼応、連携して、屋根のデザイン開発や性能・機能の向上、施工の合理化といったテーマによる、積極的な提案が屋根業界に望まれよう。   (本誌・吉田)

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No.04  1996年 10月 <秋号>

過酷な環境から生活を守る 「屋根」にもっと予算が欲しい

 あらゆる産業で、コストダウン志向がより強まっているが、建物の世界でいえば、「屋根」に一番そのシワ寄せがきているのではないだろうか。

 このところ、大きな建物で「傾斜屋根」の採用がより増えている。学校とか、体育館、美術館、老人ホーム、○○記念館といった物件を初め、マンションなど中層建物への採用事例も目立ってきた。陸屋根よりも傾斜屋根の方が防水性に優れるといった機能的な問題のほか、「屋根」が持つ景観的特性を認めての採用だろう。

 住宅の外観デザインでもまた、大手住宅会社を中心に屋根・壁トータルでより高級化・個性化を求める動きが顕著となってきた。屋根材料も釉薬瓦洋形の採用が増え、最近では品質改善とデザイン開発がめざましい金属成型瓦の採用に意欲を示す。

 ただ、そうした屋根重視の傾向にありながら、大型建築の場合、様々な建築コストの積み上がりによる予算オーバーで、あるいは激しさを増す受注競争の中で、当初計画の材料変更や発注単価の見直しなど、一等最初に“屋根が責任を負わせられる”事例が決して少なくない。一般住宅の屋根でいえば、その受注額は、かつて建築コスト全体の10%以上といわれていたものが、現在は5%、場合によっては3〜4%とされる。いまだ、建築、住宅の世界で、「屋根」は2次的、3次的に位置づけられている感を強くする。こうした状況がさらに続けば、雨仕舞や耐震・耐風性能、長期耐久性の確保といった屋根の基本機能(工法)の遵守さえ危うくなりそうだ。

 では、屋根の適正なコストとはどのくらいか、となれば、屋根材料や対象物件によて異なり、一様ではない。屋根業界側の、製造や流通の合理化、施工性(生産性)向上に対する努力不足も指摘できよう。

 ただ、ここで訴えたいことは、「まず屋根ありき」の姿勢で、間取りやインテリア同様に、あるいはそれ以上に屋根及び屋根業界が果たしている役割を再認識して欲しいということである。過酷な自然環境から生活空間を守っている重要なものの一つが屋根であり、暑さ寒さの一番厳しい環境の中、危険が伴う屋根上で仕事をしているのは屋根工事業である――。              (本誌・吉田)

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No.03  1996年 7月 <夏号>

屋根にも「性能時代」がやってきた 加速する複合的“屋根システム”

 6月上旬、(社)日本建材産業協会の通常総会後のパーティーで、潮田健次郎副会長(トステム)は、住宅(建築)関連業界を取り巻くテーマとして、@バリアフリーA省エネB安全C防犯D耐震E室内の有毒ガス防止F住宅コスト30%削減G景観・美観H地球環境I産業廃棄物J「KISS」(インターネットを使っての建材製品の CAD データ提供=通産省)の11項目をあげた。ここで読みとれるのは、建材の高性能・高機能化、コスト低減と情報化時代の到来である。

 建設省など4省は平成8年度を「住宅建設コスト低減元年」と位置付け、「住宅建設コスト低減のための緊急重点計画」を発表した。

 @建築規制の抜本的見直しA水道工事業者の規制緩和B輸入住宅、海外資材・部品の円滑な導入C住宅建設コストの低減D住宅生産の合理化推進――などが骨子となっている。これとは別に、中古住宅に品質保証制度を導入する動きも出て来た。

 とくに注目されるのは、建築規制の見直しの中で、「建築基準の性能規定化」を打ち出したことである。その背景と狙いについて、「国際基準との調和、自己責任原則の導入、民間の選択の自由拡大及び技術開発の誘発」をあげている。

 現行の建築基準法は、部材寸法や材質などを細部にわたって規定する「仕様規定」を原則としている。これを転換し、細部の仕様は問わない「性能」を法体系の根幹に据えるというわけで、まさに画期的なことといえよう。屋根業界にとっても影響は大きく、対応が急がれる。

 瓦屋根で推測、極論すれば、所定の耐震・耐風・克雪性能を満たせば、留め付け材や工法は問わない、ということになろうか。その性能をどのように実証するかという問題が残るが、瓦屋根も「建材」という概念から、自然環境をも視野に入れた、住宅(建築)総体の性能の中で果たすべき「屋根の性能・機能」の役割という考え方が益々求められよう。屋根の耐震・耐風・克雪を初め、屋根の外断熱、小屋裏換気システム、結露防止、省エネ化、太陽光発電システムなど、複合的「屋根システム」の開発が加速しそうだ。同時に、建築主を初め、設計や建築業界など外部から、屋根業界に対し「屋根システム」提案の要求も益々強まりそうだ。                                   (本誌・吉田)

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No.02  1996年 4月 <春号>

屋根もストック時代  「潤い」と「技能」が欠かせない

 建物と同様、屋根もまたフローからストックの時代を迎えている。
まず、“土地神話”が崩壊し、土地ではなく建物の資産価値に重きを置くようになったこと。また、住宅の建て替え時期は築後平均20数年というが、住宅の長期保証制度やPL法立法の目的を待つまでもなく、耐久性のある、質の高い住宅を一般消費者へ提出していこうという方向に変化しつつある。住宅供給者側の都合ではなく、施主側に立場に立った住宅政策である。昨年の大震災を機に、施主の住宅に対する“安全”、“高耐久”意識も高まっている。

 さらに、日本は現在、“住宅余り”時代。高齢化・少子化がこれに拍車をかける。建設省では2000年度以降10年間の住宅着工動向として年平均135万戸、建替率は現在の約50%から60%に高まると予測している。また、日本の全人口当たり新設住宅着工戸数は、米国のそれと比べて約2倍、ところが中古住宅市場は日本の年間40万戸に対し、米国は300万戸と膨大な市場を持つ。

 こうした指標や要因から、日本にも建て替えと同時に、住み替え・買い替え時代がやってくると指摘する人が多い。“資産価値のある住宅”となれば40年や50年、あるいは100年もつ、高耐久・高機能を備えた住宅作りは必然の方向といえよう。

 当然ながら、住宅に高断熱・高気密、省エネや快適性を追い求めると同時に、外観デザイン=屋根(材)も質的に変わらざるを得ない。つまり「高耐久・高品質」の方向であろう。

 では、その時の外観、あるいは町並みにおける「屋根」のありようとは何か。屋根材の現況を見ると、“軽薄長大”(軽くて薄く、施工性のよい大判のもの)が増えてきた。製造の技術革新がこれを後押しする。屋根デザインは住宅の洋風、あるいは和・洋折衷志向の帰結として「シンプル・イズ・ベスト」とする見方が多くなってきた。

 しかしながら、鬼師の小林章男氏は、「日本の建物、屋根から、伝統文化の良さである“楽しさ”、“物語”を復活すべし」と訴え、反論している(今号掲載の随筆で、49n参照)。

 時の流れで社会・経済・生活スタイルが変われば、“感性”も変わらざるを得ないが、良きものは良きものとして残し、改良すべきは工夫を凝らしていくべきだろう。

 「技能の危機」が叫ばれて久しいが、ある業界人は工業化できないもの、手をかけざるを得ないもの、それこそが「技能だ」と主張する。工業化で技能を押しつぶすのではなく、工業化の中に技能(伝統文化)をとり入れる努力が必要ではないか。味のある、潤いのある生活空間を取り戻すために――。   (本誌・吉田)

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No.01  1996年 1月 <創刊号>

●創刊のことば●
「R&R」は、建築・設計と 屋根の情報ネットワークをめざします。

 戦後50年、建築・住宅の世界も大きな転換期を迎えています。「利便」と「効率」優先の時代から、「質」の時代の到来――。21世紀を視野に入れた社会的要請として、使い手・住み手の立場にたった設計、すなわち安全性や長期耐久性はもとより、自然環境との調和、快適な住空間の再構築などが求められ、とりわけ建築や町並みの景観形成の重要性が大きくクローズアップされています。

 その中でいま、「屋根」の使命とは何か。雨露を防ぐシェルターとしての基本機能に加え、遮熱・断熱・通気・結露防止・遮音、さらには太陽光利用など屋根の多機能・高機能化が期待されています。また屋根は、表情のある、潤いのある建築や町並みづくりに、広義でいえば日本の建築・住文化の継承と創造に、大きな役割を担っています。

 しかし、こうした重要な使命を担う屋根でありながら、これまでややもすると、屋根業界からの対外的な情報発信が少なく、一方、建築・住宅業界側からすれば“屋根情報不足”を感じているのではないのでしょうか。

 「日本屋根経済新聞」は、創刊以来「屋根」にこだわり続けて20有余年、微力ながら、屋根業界の発展に努力してまいりました。この経験と実績をもとに、このたび“建築・住宅と屋根を結ぶ総合情報誌”「季刊 ROOF & ROOFING」を創刊する運びとなりました。

 新雑誌創刊の目的は、「建築・住まいにおける屋根の役割と機能」「建築や町並みの景観形成における屋根の社会的使命」という大きな視点から屋根を捉え直し、広く屋根の重要性を再認識してもらうとともに、「屋根の新たなる創造」の手掛かりとなる情報を提供していきたい、というところにあります。

 「季刊 ROOF & ROOFING」では、建築・住宅業界と屋根業界の媒体誌として、「屋根」および「屋根材」のデザイン、機能、材料、施工技術などの最新情報の提供を通して、新しい時代における「屋根の使命と機能」、そして「屋根の未知の可能性」を追求していきたいと考えています。

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